第14話

「じゃな、レオ、ノア」


「おー」


「レオ、青山ノアの猫見つけてやってな?」


「おー」



練習終わり、たまにレオ君は青山をバイクで家に送るから、2人乗りのバイクが遠ざかる様子は、もう見慣れた物だった。



「あー腹減った。カイー飯食ってかね?」


「そうだなー。そうすっか。ユキもどーだ?」



2人の背中が見えなくなり、駅までの道をのんびり歩き出した俺たち3人。



「俺は今日はやめとく。セイヤに顔見せに行こうかと思ってたんだよね」


「お前ら最近仲良いな?」


「ふ。セイヤの片思いだよ?」



セイヤと俺がたまに会ったりするようになれたのは、青山のおかげだ。


ハルカ君たちは、俺とセイヤが会う事を知ると、いつも少し嬉しそうにする。





五つ歳が違う俺たち兄弟。

たまに会って俺が冗談半分で言う子憎たらしい皮肉も、セイヤは嬉しそうに聞いている。




数年分の空白は、取り戻しつつあった。



ハルカ君たちと違う方面の電車に乗り、俺はセイヤが住む街に向かう。


夕方の帰宅ラッシュはうんざりする程の満員で、グイグイと押される度にため息が出る。




途方もない現実感に絶望する。




これだけ周りに人がいる。乗車率120%。右にも左にも人。人。人。





ーーーしかし孤独だ。




電車が揺れればみんなが同じ方向に流される。





ーーーなんて無力だ。

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