第9話
「ハルは本当しょうがねぇな。な?ユキ」
苦笑して難しそうな文庫本を閉じたのは櫻井快晴君。愛称は「カイ」
担当はドラム。
頭脳明快。ドラムも上手い…というか実はかなりレベルが高い。
なのにメガネとかが似合う感じじゃないからズルい。
HOPEで一番背が高く大人の色気を持ち合わせるカイセイ君は。スワロのピアスなんてキラッと輝せているくせにシレッとテストでは常に上位だったりする。
俺が女の子だったら迷わずカイセイ君と付き合うね。
縁の下の力持ちっていう言葉があるけれど、一人一人の個性の強い
HOPEが演奏中にばらけず複雑に絡み合いながら疾走できるのはカイセイ君のドラムがあるからこそだ。
彼が固めてくれた足元じゃなければ、俺とレオ君とハルカ君は安心して暴れられない。
そんなしっかりモノのカイセイ君は実は昔、結構トガッてたらしい。
その名残りはレオ君と同じ位ヘビースモーカー…ってところ位で、
今のカイセイ君はそんなのを微塵も感じさせない位に知的で大人な雰囲気だ。
……そして。
「おい、そんなクヨクヨすんなよノア」
今日一日ずっと元気の無いその人物の頭にポンと触れたレオ君が困ったようにそう声を掛けた。
ーーー青山ノア。
HOPEに無くてはならない人。
レオ君の恋人。
「どうしたの?ノアは」
そういえばさっきからずっと静かだった青山。ソファに座るレオ君の足元の床にぺたんと座って、何やら考え事をしている様だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます