第6話
「あは…見てたの。ビックリしたよ。それで時間食ってバスに遅れちゃった」
「次のバスでも全然間に合うし一緒に行こうぜ」
学校には間に合うけど、青山の乗ってるバスには間に合わなかった。
そんな取り留めの無く、野暮な言葉は口に出したりしない。
だよねーなんて曖昧に笑う俺。
ーーー「ユキヤ君って言うんですね!あの、彼女さんとかいますか?…良かったら、連絡先交換してくれませんか?」ーーー
可愛らしい雰囲気の子だった…気がする。
「で?ユキ。メアドとか聞かれたの?」
「ずりーな。そういうのコー君だけかと思ってたら、ユキもかよー」
興味津々なニッシーとテッペー。
「うん、まぁね。聞かれたかな」
「やったじゃんユキ」
ーーー「はは。彼女なんていませんよ、俺」ーーー
「うん、朝から良い事あって幸先良いかなー今日は」
ーーー「でもゴメンネ。俺好きな子いるんだ」ーーー
素直じゃない俺の口から出て表面に現れる物は、"溢れた"という表現とは少しだけ違う気がしていた。
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