第18話 モブとイケメン一条

翌日。僕はいつも通りに登校。そして校門前の横断歩道。

反対側から歩いてくるヒヨリ。

赤信号、僕らは、並んで止まった。

もちろん周りに他の生徒達もいる。

目の前を走る車。

僕らは目を合わせずに、正面を向いたまま。

2人の空間だけ。音がなくなった感覚に、

おちいる。

僕の感はあたる。『まずい。』

僕の本能が言う。

「この前は、助けてくれてありがとう。」

僕は聞こえないふり。無言を通す。

ヒヨリが直接、僕に話かけて来たのは何年ぶりだろう。

小学生以来?5年、6年ぶり?

いや、まだだ。僕の脳は勝手に拒否を続ける。手を伸ばせば届きそうな、肩がぶつかる距離に僕らは信号待ちで立っている。

ヒヨリはまた正面を向いたまま。

「ケイタ、背が高くなって私の声。聞こえなかった?」

僕はこの場から離れたかった。

何があったか覚えていないが。

小6からヒヨリが完全に僕を無視してきたことが今更だが脳内をぐるぐる回る。

『なんで、僕に話かけるんだ。

助けたって、実際はそうだが。

周りは一条がヒヨリを助けたことになっている。僕には関係ない。』

信号が青に変わる。校門の立っている先生の「おはよう。」の声が聞こえる。

僕はヒヨリ一歩早く踏み出した。

「ケイタ!」今度は周りにも聞こえるように大きな声。

僕は振り向かず。校門をくぐる。

先生が「ケイタ。呼ばれてるぞ。」

「先生。違います。僕じゃないですよ。」

「そっか?」

背中で会話が聞こえる。

先生が「ヒヨリ、大丈夫か?ケイタが無視して言ったぞ。」

ヒヨリの声のトーンが変わる。

「先生、私、ケイタのこと呼んでません。

先生、聞き間違いですよ。」

「それじゃあ、先生の聞き間違えだな。遅刻するぞ。早く教室へ行け。」

「はーい。」

いつもの僕を無視ししてきたヒヨリに声だ。

僕は何もなかったことにしてそのまま教室へ向かう。

教室に入るとフトシとシュウジはすでにいた。

それに一条がすごい目で僕をにらんだ。

「おーい、ケイタ。遅いぞ。また、夜中までゲームでもしてたな。」そう言いながら

席に着いた僕に絡む。

僕の前の席だ。シュウジは右隣。

この席は気に入っている。仲間と近くの席だと学校が楽しい。楽だ。

高1になっても発想が小学生みたいで、

自分自身笑える。まあーいい。

学校は楽なのが一番だ。基本息苦しさや無駄な努力は必要ない。

努力、苦労は学生のうちにと先生や大人たちはよく言うけど。

僕的には、しなくていいことは、しなくていい。

これはポリシーだ。

「まあーな。」遅れて、フトシに答える。

「ケイタ、やっぱり夜更かししたな。」

遅れてヒヨリが教室に入って来た。

一条が「ヒヨリ、どうしたんだ?いつもの場所で待ってたよ。

携帯はつながらないし、」

「一条、ごめん。遅刻しそうで、走ってたから携帯出れなくて。」

一条、ヒヨリの取り巻きのうるさい女子達が2人を囲む。

「ヒヨリ、私もメールしたよ。」

「そう、ごめん。カナ。」

カナは一番の仲良しらしい。が僕はカナのことが嫌いだ。

この間の体育のマラソンの時にも僕らをバカにしたし。

それになにより、小さい頃のカナを僕は知っている。

幼稚園の時に通ってた、プログラミング教室で同じだった。カナは覚えていないが僕はしっかりと覚えている。もちろん、容姿は高1してお互い、かなり変わっているが。

僕は名前で覚えていた。高取カナ。5歳児にしてPCプログラミングは、かなりの上級さレベル。今の高1の赤髪に、マニキュア。「だるー。」の決まり文句のギャルからは想像できないほど。真面目ちゃんだった。

しかし、カナは通っていた教室のレベルが低すぎて彼女には物足りなかったらしく。

1か月もしないで教室をやめた。

僕のライバル?かと思い幼稚園ながら、1人火花を散らしていたのに。

あっけない。それ以来、カナとはこのクラスになるまで一度もあったことはなかった。

それに彼女は電車で通ってきて、家は遠かったような。

「ふっ」横のシュウジが突っ込む。

「ケイタ、気持ち悪いぞ。何、思い出し笑いしてるんだ。」

フトシも「また、エロいことでも考えてたか、エロゲーオタク。」

「違うぞ。」

エロの言葉に反応したのか、クラス中がちらり僕らを見た。

「こら、フトシ。エロゲーいうな。」

「はい。はい。」

僕は3人でふざけながら、遅れて席に着いた、ヒヨリを目で追った。

カナたち、一条がヒヨリを囲む。

仲だよさそうだが、たぶん違う。カナは一条が好きだ。見ててわかる。

しかし、一条はヒヨリが好きで、かなり強引に取り巻いている。

カナはたぶんヒヨリに嫉妬している。

一条といっしょに、いたいからきっとヒヨリといるんだろう。

その他の取り巻きの女子達は知らない。

まあー、たとえ一条がPC機械人間だろうが、

イケメンなら、女子達は気にしないんだろうな。

『その通りだ。』

一条がはじめて僕の脳内に干渉した。

すかさず僕も『イケメンはいいよな。一条。』

このチャンスは逃さない。

『一条。お前はPC機械人間だな。』

『その通りだ。それが何か?問題でも?

何もたくらんでないさ。少しだけ人間に興味を持っただけさ。それに・・・ザー』

通信不具合の音。

僕は思わず立ち上がり一条の元へ。

顔を見た。?途中で電池切れのロボットのようだ。ただの人間のようだ。

教室のドアが開く。先生が入って来る。

「みんな、今、学校内でネット工事している。午前中はネット使用不可だ。」

「えーっ!」クラス中からブーイング。

そして先生は続けて「入ってきなさい。

転校生の桜田サクラさんだ。みんな仲良くするように。」

「えっーーー!桜田くん!」











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