流行りに乗らないモブ・誰か救ってくれ

京極 道真  

第1話 モブの日常に異変が

あー、目がいたい!時計は0時をまわって

もうすぐ、1時だ。

「もう少しで攻略できるはずだ。早川くん。」

机の早川フィギュアに報告。

早川くんがにっこり笑った。

「よし。終了だ。隊長は寝る。」

いつものゲーム終了間近の儀式だ。

キモいかもしれないが、僕の友人兼恋人の

フィギュアの早川くんとの会話だ。

妄想だ。

高1になっても僕はモブ。オタクだ。

動く女子とは基本話さない。

深夜の1時。静まり返る世界。

この世界すべてを征服したかのような

優越感の時間。僕の時間だ。

モブのまま。これでいい。

あー、僕は何をやっているのか?

そろそろ寝よーっと。

PC電源をスリープに。

僕はベットに入る。

明日は一限目から体育がある。

だるい。あー、僕は目を閉じて瞬殺。

脳内は即座に夢の中へ。

「コソコソコソ」っと

夢の中で誰かが話している?

誰だ?

でも眠い。

目が重く開かない。

夢か?いや、「カチャカチャカチャ。」

スリーブにしたPCを誰かが使っている。

PCの光に影だけが浮かぶ。

長い髪?やわらかな曲線。「早川くん?」

いや、違う。人影がデカい。人だ。

えっー!人間だ。

僕は飛び起きた。

PCの時計は2:47。

「誰だ!」いや待てよ。夢だ。これは夢だ。

遅くまでPCいじってたしな。

よし寝よう。僕は目の前の女子をスルー。

ベットに戻る。

11月6日、深夜2:47に僕は幻に遭遇。

回避のため布団をかぶる。

「早川くん。」

寝ぼけながらも僕はいつもの癖でフィギュアの早川くんに報告。

「隊長、寝るの待ってください。」

「えっーーー!」PC前の幻の人間が言葉する。

僕はベットから飛び出した。

確かに人型のしかも女子が僕の机にすわっている。必死にPCをたたいている。

「はい。終了。」キーを叩く。

僕の自慢のイスがくるりと回る。

「隊長、只今終了しました。」

「早川くん。」僕は机の上の定位置のフィギュアの早川くんを見た。

「いない。」あー、これは夢ではない。

本物だ。

こうなったら開き直るしかない。

「早川くん、どうして君は人間の格好になったんだ。」

「はい。隊長、深夜2時から2時59分の59分間だけは人間に変身できるんです。

隊長知りませんでしたか?」

「あー、知らなかったよ。それにしゃべることができる。信じられないよ。」

「そうですか?童話でよくある、おもちゃの人形たちが人間が寝静まったあとに動き出すお話があるじゃないですか。あれですよ。あれと同じです。私の場合は時間制限がありますが。」

「そうなのか。僕は全く知らなかったぞ。

それで何をしているんだ?」

「ネット内パトロールですよ。」

「なんだそれは?」

「隊長が言い出したことですよ。」

「僕が?」

「はい。ネットの書き込み見て。

『こいつ最低ー。書き込み削除。』っとか勝手に言ってたじゃないですか。

覚えてませんか?」

そういえば言った気がするが。ネット内パトロールとまで言ってない気がするが。

早川くん。」

「あー、やっぱり、バレました。ネット内パトロールは嘘です。

単にネットサーフィンしてただけです。」

キリっとした美人の早川くんの顔が少し曇る。

「早川くん、僕は君を責めているんじゃないからね。ただ何してるのかな?って気になっただけさ。」

「そうですか、隊長。良くわかりませんが、

ありがとうございます。」

「しかし、フィギュアが人間に変身できるなんて。ほんと不思議だな。」

「隊長、これは秘密ですから、

口外しないでください。」

「早川くん、僕に秘密をばらしていいのか?」

「まずいと思いますが、しょうがないですね。

隊長ですから。」

時計が2時59分を指した。

「隊長、時間です。じゃあ、また明日。」

「えっ、早川くん。」



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