第12話

この映画は歌手希望のヒロインが、夢を目指して上京し、1人の俳優に恋をして夢を叶えていく物語である。

「台詞の中にあなたがいれば何も怖くないって言葉があるの。まさに今の私にピッタリ」

梨花はそう言って蒸気する自分の両頰を手で押さえた。

「私には波音がいるもん」

梨花はそう言うと波音に持たれ掛かった。

「波音、大好き」

「俺もだよ」

「ダメよ。波音もちゃんと言って」

梨花はそう言って剥れた。


「この子、いいですね。歌声に艶がある。映画で歌ったら映えますよ」

監督と演出家が歌のシーンを撮りながら満足そうに頷いた。

「ですが全くの素人なので、演技指導が大変です」

「まあね。高校の演劇部でヒロインを演じた事があるぐらいだからね。よろしく頼むよ」

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