第9話

「どうだった?初デートは」

月曜日の朝練の前、部室の中には波音と克樹しかいなかった。

「うん?まあまあかな」

克樹がカッターシャツを脱ぎながら言った。

照れ臭そうである。

「嘘つけ。楽しかったと顔に書いてあるぞ」

先に練習用のユニフォームに着替えた波音が克樹の頰を指で突いた。

「で?本当はどうなんだ?」

「私服見たの初めてでさ。髪もポニーテールじゃなくて下ろしてて、すげードキドキした」

ドキドキか……

そりゃそうだよな。

入学した時から好きだった子との初デートだもんな。

「そっか。良かったな」

知らないうちに、波音は優しい笑顔になっていた。

「うん。凄く嬉しかったよ」

克樹の言葉に波音は大きく頷くと、ポンと肩を叩いた。

そして2人はランニングへと向かったのであ

る。

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