第5話

街に行くと、ビルに上野篤哉の巨大ポスターが貼られている。

男性化粧品ギュネスのイメージキャラクターになっているからだ。

モデルクラブ麗を出た先に、ファミリーレストランがある。

篤哉は女性と一緒に食事に来ていた。

「グリーンサラダとオムライス」

注文を取りに来た悠乃に篤哉が言った。

「じゃあ、私はシーフードサラダとペペロンチーノ」

女性がメニューを指しながら言った。

「有難う御座います。少々お待ち下さい」

悠乃は頭を下げると奥へと向かった。

「なあ、今の子って何処かで見た事ないか?」

篤哉が口を開いた。

「さあ、知らないけど」

女性はシレッと答えた。

食事をして、会計をする時も悠乃が担当だっ

た。

「あの、君、何処かで見た事ないかな」

篤哉の突然の言葉を聞いて、悠乃は目を丸くしている。

「何よ。まだ言ってるの?」

女性が口を開いた。

「あなたこそ見た事があるような……」

悠乃は首を傾げた。

「モデルの上野篤哉よ。知らないの?」

女性が呆れたように言った。

「ああ、其処の巨大ポスターの人?」

悠乃の言葉を聞いて、篤哉は苦笑いしている。

「で?君は?」

篤哉が訊いた。

「三島悠乃と言います。ONE TIMEというコンビで漫才をやっています」

悠乃が言うと女性はクスリと笑った。

女性はかなりの美人である。背も高くスタイルも抜群に良かった。

「そうだ。漫才だ。漫才劇場でやっているのを見たんだ」

「篤哉、漫才なんか見るの?」

女性は悠乃を見て、鼻で笑った。

「友達の付き添いだよ。じゃあ頑張って」

篤哉はお金を払うと、女性と共に店を出て行った。

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