第6話

土曜日、バスケ部の練習が終わった後、心と萌は近くのデパートに行った。

初デートの時に着るワンピースを買うためだ。

女の子に人気のショップに入り、萌は早速ワンピースを手に取った。

「どんなのがいいかなぁ」

萌はソワソワしている。

頰は上気して、デートを意識しているのが心の中にビシビシ伝わって来る。

「白河君、どんな服が好きなのかな」

萌はそう言いながら、次々とワンピースを当てて行く。

「萌が気に入ったのが一番」

心は思わず笑顔になった。

「ねえ。白河君の好みってどういうの?幼なじみなんだから知っているよね」

「女の子の話なんか聞いた事ないんだよねー。バスケばっかりで」

「じゃあ、私が初カノ?」

「そうよ」

心がそう言うと、萌は頰を赤らめた。

「嬉しいな…… でも、でもだったら余計に気になるよ」

萌の必死の様子を見て、心は心の引き出しにそっとしまっていた事を打ち明けた。

「真尋は空が好き。だから空色がいいと思う」

「空色?」

萌はそう言いながら、ワンピースを元の場所に戻す。

「あった……!優しい空色。ねえ、どうかな」

萌はズラリと並んだ中から、1枚のワンピースを引き出した。

空色のワンピースで、胸元に白のレースが施してある。

とても萌の優しい雰囲気に似合っていた。

「可愛いよ。萌。よく似合う」

心は花が開いたような笑顔になった。

「きっとデートも上手く行くよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る