第3話
「行ってきまーす!」
朝、玄関のドアを開けると、心はまだ薄暗い道に出る。
すると、隣の家から真尋が出て来た。
「おはよう」
真尋は自転車に乗っていた。
「乗るか?」
「ううん。いい。走って行くから」
心は明るい笑顔を見せた。
「あ、そう。じゃあお先」
真尋は自転車に乗って、静かな住宅街を通り過ぎた。
「乗れるわけないじゃない…… 」
「そんな事したら真尋を好きなのが分かっちゃうものな」
「優ちゃん……!」
振り向くと、真尋の兄の優樹が心を見ていた。
「俺の前では隠さなくていいよ」
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