第14話

幸は家庭科部が終わった後、涼真のサッカー部が終わるのを待って、2人で一緒に帰ってい

た。

「それで美香ったらね…… 」

涼真は、幸の話を聞きながら笑顔になる。

幸はその度にドキドキしっぱなしだ。

こんなにドキドキして私の心臓大丈夫かな。

不意に涼真は幸の手を握った。

涼真の手は大きくて温かい。

小さな幸の手はすっぽり包まれてしまった。

「それでどうしたんだ?」

涼真は幸のどんな話でも聞いてくれる。

「あのね…… 」

「うん?」

「何を言おうとしたか忘れちゃった」

涼真は笑って、幸の髪に手を触れた。

幸はショートカットである。

それ以外の髪型は似合わなかった。

駅が見えて来た。

涼真は毎日駅まで送ってくれる。

涼真の家は反対側なのに。

幸はこの幸せがこれからも続くと信じていた。

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