第10話
4月になって幸達は2年生に進級した。
また涼真と同じクラスになった。
そんなある日、涼真が家庭科室を覗いた。
「きゃっ。妹尾君、何か用?」
女の子達が途端に集まって来る。
「いや、通りかかっただけ…… 」
涼真の目はクッキーの生地を型で抜いている幸に向けられていた。
視線を感じて幸は顔を上げた。
涼真が立っている。
涼真は黙って頷いた。
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