第21話

「どう?ライブの方は」

「新人だからさ。先輩漫才師達の前座か、地方巡業」

「お客さんの反応はどう?」

奈緒の言葉を聞いて、開と将真は顔を見合わせた。

「笑ってくれる人も居れば、白けてる人もいるな」

将真が苦笑いしながら言った。

3人ともチキンカレーを口に運んでいる。

「一番前のお客さんが寝ててさー。あれはショックだった」

開が言うと奈緒が笑った。

「春だからねー」

「明日はデパートの屋上でやるから寝る奴はいないだろう」

将真が言った。

「そうだ。ネタを練り直したんだ。演るから奈緒、感想聞かせて」

「いいよ」


奈緒が声を上げて笑っている。

それだけで俺は幸せだった。

俺達の漫才で奈緒が笑っている。

「最高よ!2人共」

奈緒はそう言って手を叩いた。

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