第14話

2月14日がやって来た。

開は全くチョコに縁が無い。

精々母親と妹からのものだけだ。

開は放送室に入り込んだ。

「さあ!チョコに縁のない男子生徒諸君!校庭に出て思い切り騒ごう!」

開はギターを持って来ていた。

男子生徒達が校庭に出てくると、朝礼台の上でギターを弾きながら替え歌を歌っている開がいた。

それを聴いて男子生徒達は笑い転げている。

「さあ!イケメンは即退場!これは醜男だけの宴会だ!」

開はどんどんギターを弾きながら歌を歌っている。

いつの間にか奈緒も少し離れた場所から見ていた。

「姫ちゃんだ!」

男子生徒の一人が言った。

「姫ちゃんもこっち来て。俺達と一緒に歌おう!」

こうして他の女の子達もやって来た。

「受け取ってもらえなかったチョコでもいいなら…… 」

集まった男子生徒達は行き場のないチョコを受け取って解散して行った。

「良かったね」

奈緒は開に優しい笑顔を見せた。

「でも俺にくれる人はいなかった」

開が寂しそうに言うと、奈緒は笑った。

「其処は心配要りません」

「えっ?」

「此処にチョコがあります」

奈緒はそう言うとミニバッグからピンクの包装紙に包まれた箱を取り出した。

「はい。福山君」

「俺に?」

「前に福山君が素敵って言ったでしょう?あれ取り消す」

「えっ?」

「福山君は最高だよ」

奈緒はそう言うと弾けるような笑顔になった。

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