第32話

麻紀は花柄のワンピースを着ていた。

折角のデートなんだからね……

七海がそう言って一張羅のワンピースを貸してくれた。

ラグラグの店内は人も疎らで静かだった。

時間も遅いので、2人とも紅茶を頼んだ。2人ともオレンジティーだ。

「オレンジが好きなんです。オレンジジュースとか、オレンジティーとか」

藍崎が照れたように言った。

凄く可愛い顔立ちをしている。

それで照れるから余計に可愛い。

「藍崎さんはお幾つなんですか?」

「24歳です」

「そうなんですね。20歳ぐらいかと思ってました」

「まさか。夏目さんは…… 」

「18歳です」

麻紀は167cmである。

一緒に並ぶと、藍崎の方が小さかった。

「今までスカウトされた事なかったですか?」

麻紀は静かに口を開いた。

「一度だけ……ですが断りました。マネージャーになりたかったので」

「どうしてマネージャーになりたいと思ったのですか?」

「中学の時、マネージャーのドラマを見て、凄く憧れを持ちました。役者やタレントの支えになれるようなマネージャーになりたくて」

「矢崎さんのマネージャーってハードですよ

ね」

「ハードなのは翔真です」

麻紀は藍崎の目を見つめていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る