第18話

瀬名はセーターとGパンに着替えると、他の選手達と一緒にモニターで試合を見ていた。

この大会は翌年3月に行われる世界ジュニア選手権の代表選考会を兼ねている。

全日本ジュニア選手権優勝の河合亜美は既に代表に内定している。残りは後2人だった。

第2グループの4番滑走の大友由里香がリンクに出て来た。

此処までの選手の中で瀬名はトップである。

「全日本ジュニア選手権4位、大友由里香で

す。曲は白鳥の湖」

瀬名は此処までの選手の演技も真剣に見て来たが、由里香の時には釘付けになって見ていた。

動きが大きいのに繊細で見る人を引き付ける。

ややジャンプに幅はないが、表現力は素晴らしい。

2分40秒があっという間に過ぎてしまった。

そして観客に答えながら、由里香はコーチと共にキスアンドクライに向かった。

64.52。

瀬名に続いて第2位になった。

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