第3話

「瀬名」

食事を済ませた後、居間でテレビを見ていた瀬名に母親が声を掛けた。

「お母さん、後30分待って。今、いい所なの」

瀬名に取って水曜日の午後9時は大事な時間だった。

大ファンの大友響のドラマがあるからだ。

「響君、いつもカッコ良いね」

「でしょ?」

母親も瀬名の隣に座って一緒にテレビを見始めた。


ドラマが終わって、瀬名は母親から衣装を貰って感激した。

ピンクの生地に銀色のスパンコールやビーズが胸元に散りばめられている。

とても可愛い。

全日本ジュニア選手権に出場出来たお祝いに仕立たものである。

「素敵!お母さん、ありがとう!」

瀬名は母親の手作りの衣装を抱き締めた。

「頑張るのよ。瀬名」


瀬名は衣装を大事に壁に掛けると、やる気がムクムクと湧いてきた。

瀬名は寝る前のストレッチを始めた。

部屋には大好きな大友響のポスターが貼ってある。

瀬名は疲れた時にはこのポスターを見つめた。

大友響は瀬名より4歳年上の18歳である。

女子中高生を始め、若い女の子達に大人気の俳優である。

ストレッチが終わると、お風呂に入る。そして宿題をして寝るのだ。

夜は11時には寝ている。

朝が4時30分に起きているからだ。

毎日、5時30分から8時まで早朝練習をしている。

これが瀬名の日課だ。

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