第2話

「お疲れ様でした」

控室に戻ると、愛の好きなブルーベリーシェイクが待っていた。

「ありがとう。外山」

愛の顔が輝く。

そうしていると、悠のケータイが鳴った。

悠は、愛に断って離れた位置でケータイに出る。

「はい、外山です。いつも有難う御座います。生憎、桐島は今月は予定が一杯でして、来月の3日の15時からでしたら空いているのですが、如何でしょうか?」

愛はソファーに座ったまま、悠の声をずっと聞いていた。少し低音で、でも穏やかな柔らかい声だ。

「あ、宜しいですか?有難う御座います。それでは10月3日の15時と言う事で宜しくお願いします」

悠はケータイを切った。

外山悠は桐島愛のマネージャーである。

マネージャー歴2年で、23歳になる。

愛のマネージャーになって、1ヶ月が過ぎていた。

「どうしたんですか?愛」

愛はずっと悠を見ている。

「外山ってさ、綺麗な指してるね。細くて長い」

「そうですか?」

ブレザーの袖口から金色のブレスレットがチラリと見えている。

彼女とのペアブレスだ。

「次は何だっけ?」

「新CMの撮影が入っています。洗顔料のCMですよ。メリパレス」

「あの人気シリーズの⁈」

愛は目を丸くしている。

「はい。愛が抜擢されました」

「ふーん」

愛は少し緊張している。

「気負う必要はありません。普段通りの愛で大丈夫ですよ」

悠は温かく包み込むように笑った。

「さあ、行きましょうか」

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