第47話

「素晴らしい大学時代だったんですね」

指導に当たっていた後輩の安原が言った。

「箱根は正に俺の青春そのものだったよ」

「警察官にはいつなろうと思ったんですか?」

「父が警察官でね。その背中を見て来たから。中学生ぐらいには決めていたよ」

歩希は地元の神戸で警察官になっていた。

妻の咲香と息子の望と3人暮らしだ。

「息子さんにも将来箱根を目指して欲しいと思っていますか?」

「息子のなりたいものを応援したいと思っているよ。それが箱根だったら嬉しいね」

歩希は柔らかな笑顔を見せると、仕事に戻って行った。

今年ももうすぐ箱根駅伝の時期が来る。

また親子3人で沿道で応援しようと歩希は思っていた。



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