第10話
「今回はちょっとハズレだな」
女の子達が化粧室に入っている間に竹内が言った。
「歩希、お前どう思う?」
「あーどっちでもいいよ」
こうして6人で街を歩いていたら、公民館の前を通った。
そこに看板があった。
"テーピング講習会"とある。
「悪い、中原、竹内俺抜けるわ」
「あー講習会行くのか?」
「悪い」
女の子達は3人口を揃えてブーイングだ。
「ゴメンね」
歩希は謝ると公民館の方に走り出した。
講習会では実際にテープを巻く人。巻かれる人に別れての練習が続いていた。
そこにいたのは、マネージャーの臼井咲香である。
「宮本君、来てたの?」
「臼井先輩こそ」
「足首が上手く出来ないから、宮本君パートナーになってくれる?」
「ああ、いいですよ」
咲香もマネージャーとしてテーピングは出来るが、更に上手に巻けるようになろうと頑張っていた。
今は歩希の右足首にテーピングをしている。
「どう?痛くない?」
「全然大丈夫です」
歩希の足を触りながらテーピングの具合を確かめる咲香。
その表情は真剣である。
他にも、膝や太腿のテーピングのやり方を学んだ。
「お疲れ様でした」
咲香がペコリと頭を下げた。
「いや、臼井先輩こそお疲れ様です」
公民館から少し歩いた先にこじんまりとした木で出来た喫茶店があったので2人は其処に入った。
2人でカフェラテを飲んでいる。
「テーピングは野上先輩に教わったけど、こうしてプロの話を聞くとまだまだだと思う」
「故障しにくい身体作りの講義も良かったですね」
さっきの臼井先輩の顔は凛として厳しかったけど、今は柔らかくて優しい顔をしているな……
向かいに座って歩希は、咲香の顔を見つめていた。
「何?」
咲香が歩希に視線を向ける。
「い、いや。何でもないです」
歩希は少し焦っていた。
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