第14話
女子のフィギュア界に突然彗星が現れた。
宮井亜沙である。
陽乃より一つ上の高校2年生である。
西日本選手権も堂々の優勝。
全日本選手権にやって来た。
去年までは9位と、全くノーマークの選手だ。
亜沙の持ち味は大胆なステップ。ジャンプの幅も高さもあり、去年までとはガラッと変わっ
た。
亜沙のショートの曲はスマイルである。
ルッツ、トウループの3回転連続ジャンプから始まり、メリハリをつけた動きで観客を惹きつけた。飛距離のあるダブルアクセルも見事で、最後は鮮やかなステップ、ビールマンスピンで決めた。
会場の観客はスタンディングオベーションである。
亜沙は弾けるような笑顔を見せると、四方向の観客達に深く片膝を折って挨拶した。
氷の上に落ちた一輪の花を拾って亜沙はリンクサイドに戻って来た。
それからキスアンドクライでコーチと一緒に得点を待った。
70.52。
70点を超える数字に場内から大きな拍手と歓声が湧き上がる。
亜沙は立ち上がると、観客達に大きく手を振った。
亜沙は現時点で2位だった。
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