第3話
生活のプライベートなところは気が引けてみないようにしていたが、男の毎日書いているらしいものは気になった。どうやら日記ではないことはタイピングでわかった。
私も健康に生きているときは小説やエッセイを読んだ。細切れに読むのは苦手だったから、社会人になると自然読む数は減った。もともと読書家というほどではなかったが、ある日突然読めなくなった。文字が平坦に見える。想像が小さな音で邪魔され、気が散る。そのころ人気だった小説家の話はいつも似たりよったりに思えた。新しい何かを吸収できないことは苦痛だ。
……いまならどうだろう。
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