第35話
ある放課後。
生田くんが私に声をかける。
声を掛けられて、私の胸は高鳴る。
でも。
「ちょっとまた相談乗ってもらってもいい?」
「…。うん。」
この相談は私にとって、辛い相談でしかない。
なぜなら。
私が想いを寄せているこの人は。
私の親友の彼氏だからだ。
*
「ありがとう。またよろしく。」
「うん。私で良ければいつでも。」
私で良ければいつでも。なんて。
よく言うよ。
結局私、1人で泣いてるのに。
その時。
ふっと浮かんだ、いつか本で読んだフロイトって人の名言。
『恋に落ちている時ほど、苦痛に対して無防備である事はない。』
ほんとにそうだね。
あまりにもピッタリすぎて、思わず自虐的な笑みが零れる。
でも、次の瞬間には我慢出来なくなって。
「…うっ」
大粒の涙が溢れてきた。
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