第35話

ある放課後。


生田くんが私に声をかける。


声を掛けられて、私の胸は高鳴る。




でも。


「ちょっとまた相談乗ってもらってもいい?」



「…。うん。」



この相談は私にとって、辛い相談でしかない。


なぜなら。


私が想いを寄せているこの人は。


私の親友の彼氏だからだ。





「ありがとう。またよろしく。」



「うん。私で良ければいつでも。」




私で良ければいつでも。なんて。


よく言うよ。


結局私、1人で泣いてるのに。





その時。


ふっと浮かんだ、いつか本で読んだフロイトって人の名言。



『恋に落ちている時ほど、苦痛に対して無防備である事はない。』



ほんとにそうだね。


あまりにもピッタリすぎて、思わず自虐的な笑みが零れる。




でも、次の瞬間には我慢出来なくなって。


「…うっ」


大粒の涙が溢れてきた。

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