第33話

その後。


ある事が気になった私は、柊に聞いてみた。



「柊が藤堂に生まれたってことはさ、例え後継ぎにならなかったとしても、婚約者は親に決められる訳でしょう?


もし、九条の長男が亡くなってなかったら、私達より戻せなかったんじゃないの?」



少し泣きそうになりながらたずねる。




すると柊は笑って。


「だって俺、杏香は萩原の人間だって気付いてたし。


親父は萩原の人間なら許してくれるって分かってたしさ、そこまで問題視してなかった。」


またまた爽やかに衝撃発言。




「じゃあ、…今回のことは、想定内ってこと?」


恐る恐る、私が尋ねると。



「え?そうだけど?」


何か問題でも?って顔で笑わないでクダサイ。




でも、次の瞬間真剣な顔をして。


とても甘い声で。


『でも俺、お前とならどんな想定外のことでも、どんな逆境でも乗り越える自信あるよ。』



って耳元で囁いて。


離れていた空白の1か月を埋めるように、長い間。


固く抱きしめ合っていた。

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