第25話

だけど、この手紙には続きの2枚目があった。


そこには、真ん中に一文だけ。





『先輩、ずっとずっと大好きでした。』


それは、切なすぎる告白。


過去形であることが余計そう見せていた。



よく見ると、その手紙の綺麗な文字は滲んでいて。


泣きながら。


震えながら書いたことが分かる。




「ったく…こんな告白…」


切なすぎんだろ…。



そう呟いた時。


ガタッという物音と、「あ…っ」という慌てる声が聞こえきた。



この声…星川か。


声だけで分かるなんて、俺も相当だな。



そう自分に苦笑しながら、俺は鍵を取って。


後輩達がいる、打ち上げ会場に足を向けた。






さて。余談ですが。


このバスケ部にはもう1つの慣例があるのです。


後輩からだけでなく、先輩からも手紙を渡すという慣例が。



彼女、星川美空さんがそれに気付くのはいつでしょう?


彼からもらった手紙に不器用に綴られた想いに、気付くのでしょうか?


それは神のみぞ知っていることなのです。




ですが、私がひとつ言えるとしたら。


この2時間後。


この街にカップルが1組増えることになったということだけ。

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