第9話

ずいぶん昔に諦めた恋。


あの2人が結ばれてくれて、良かった。


心からそう思う。




携帯を開けて、諦められていたのに何故か消せなかった、平沢くんとのツーショットを引っ張り出す。



それを見た後、削除のボタンを押した。


ー削除しましたー


その文字が出たのを見届けて、机に携帯を静かに置き、小さく呟く。




「2人ともお幸せに。」



そう呟いた時、「ただいまー!」と、元気な声が聞こえてきた。


トダバタと走ってくる足音に思わず苦笑を漏らす。


リビングのドアをバタンっと勢いよく開ける息子。




「ママっ今日のご飯なにっ?」



「んー…ハンバーグかなー…」



「やったぁ!」




ぴょんぴょんと飛び回る息子から遅れて入ってくる旦那。



「ただいま、百合。」



「おかえりなさい。裕太。」





ー平沢くん。


あなたへの片想いは実らなかったけど、今私は。


大好きな旦那、そして息子がいてとても幸せです。


大切な恋の思い出をありがとう。


お幸せにー

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る