38 入団式

今日は入団式だ。わたしでも武官として騎士団に入団する。


新しい制服を着ると気分がしゃきっとする。実はこれは二枚目だ。一枚目はコリンの研究室や、フィリーの畑で仕事をしていたら、貫禄が付いてしまったのだ。薬品のシミとか生地が薄くなったり、泥汚れを落とそうとしてたら、なんか変になって・・・


それでブルース様がもう一枚作ってくれて、研究用と普段用と使い分けるように言われた。


今日は普段用だ。期待の新人魔法士様だよーーー


新入団の所には、ロバート様。騎士団長の息子のフェルナンド様。去年、二位だった人など、わたしが手出しした人たちもいた。入団していたんだ。良かったぁ。


そういう若い人の他にちょっと年上の人も並んでいた。後で聞くと騎士団の予備員として活動して来た人だそうだ。


正式に採用されたんだ。おめでとうですね。


それと魔法士見習いで五人採用されたそうだ。ブルース様も見習いを経験しているそうだから、この五人から将来の部長が出る可能性もあるってことね。




ロバート様には、こちらから挨拶をした。いつもしていたもの・・・平気よ。


「おはようございます。ロバート様」


「おはようございます。リリー様」


するとフェルナンド様が


「固いぞ、みんな同僚だ。様はいらないぞ」と言った。



そしてすぐに


「おはよう、ロバート。おはよう、リリー」と大きな声で続けた。


「おはよう、リリー。チャーリーだ」と言われて返事を返す前に


「チャーリー。おはよう。フェルナンドだ」


と賑やかに自己紹介が始まった。


そこに


「新人、並べ」と声がかかった。


その瞬間、わたし以外はさっと動いて綺麗な列が出来た。


フェルナンドに


「リリーはここ」と教えて貰ってそこに立った。



入団式はすぐに終わった。


「新人で一緒に夕食を食べよう。食堂に集合だ。時間は適当で」とフェルナンドが言うと


「了解だ」「食堂で」とか返事があった。騎士団っぽい。


わたしも真似して


「了解です」と言った。



さぁコリンの所で実験の続きだ。っとその前に制服を着替えないと。


わたしは、どうすれば空を飛べるか?どうやって飛ぶかについては、本を読んで知識を増やしている。


でも、納得できないのよね。剣を振り回すのは誰でも出来る。でも騎士団に入れるまで力を伸ばせるのは少数だが、実在する。


飛ぶことに関しては、跳べるものが、頑張って飛べるものになるとは思えない。だから、本は途中で読むのをやめた。


でも、飛べる乗り物を作るのは行けそうだと思う。地上を移動するのだって、馬車に乗るし・・・


その検証のための環境を作るのが、わたしは上手いのだ。それがわたしの手伝いだ。


風を下から吹き上げさせたり、火力を押さえた火を作ったり。


今は物を燃やさない火を作る練習をしている。


あぁ、早く空に行ってみたい。





今日は、誘われていた騎士団の訓練を見に行った。手が空いている魔法士も一緒だ。そうだね。同じ騎士団に所属しているのだ。


女性は少ないが、彼女たちはとても格好良い。見習い魔法士も混じって訓練をしている。


こうして見ると杖もいろいろだ。エリザ様はあの杖をどうしただろう。あれくらい大きいと杖も武器になりそう。


普段は杖を腰にさげているのか、なるほど、短鞭は下げていたけど杖はポーチに入れていたし、競技会では、みんな最初から手に持っていたから気がつかなかったな。


ペン軸を下げても様にならないけど。



打ち合いを見て思った。あれって痛くなければ、ずっと打ち合えるの? いや、その時、痛くても自分で「飛んでけ」ってやると、有利に戦えるのでは?治すのは大変でも、痛みをとれば・・・


つい、ロバートを目で追ってしまう。多分、一番弱い。予備員程度?いい気味って思うし気の毒にって思う。そして関係ない人だ。



ちょうど、フェルナンドがいたから質問した。


「回復とかやってる?」と聞くと不思議そうだから


説明した


「うん、回復。ほら、あんなに当たったら痛いでしょ」と言うと



「えーーとつまり、自分で治療?」とますます不思議そうになるので



「ほら、今の人、痛い所に手を当てているでしょう?手当だよね。その時、意識して魔力を流せば効果があるのでは?治療師さんほどのことは無理でも痛くなければ、打ち合いで頑張れるのでは?」と言うと



「なるほど、考えもしなかった。確かに少しは魔力があるんだから、なるほどね」とフェルナンドがうなずいた。




会場では落ち着いた年頃の人が二人、試合を始めた。



「あの、お二人は第一団と第四団の団長です」とフェルナンドが教えてくれたから


「学院の試合より速いですね」と言うと


「う! えぇそうですね。速い。よくわかりますね」


そりゃ、打たれる前に治療を始めないと間に合わないから、あの時、頑張ったし・・・内緒だけど。


上手く答えられなくて

「見れば、わかるかと」と首を傾げたら、フェルナンドも


「そうかな?」と首を傾げた。


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