31 引っ越して一日目
クーロとサンデーは仲良く遊んでいる。わたしは制服を脱いで着替えた。それから、箱を開けて部屋を整えて行った。と言っても服をタンスにかけて、着替えを引き出しにいれて、机に教材と文房具を並べるだけだ。
その最中に荷物が届いた。ナタリーとパトラからの引越し祝い。お茶道具だ。遊びに来た時に揃ってないのを見て贈ってくれたのだ。
侍女も一緒に来ていて、食器を洗い食器棚に収め、テーブルにコンロを置いてくれた。
これはあの空を飛びたい魔法士が作った物らしい。蓄魔池と言うのに魔力を貯めておいて動作させる。
誰でも時間をかければ魔力を貯められて、便利に使えると侍女が説明してくれた。
このコンロはその彼からの引越し祝いだとか!!!なんて素晴らしい。
せっかくだから、その侍女を誘ってお茶を飲むことにした。侍女に教えて貰いながらお茶を入れたが、我ながら美味しかった。
おなかが空いたので食堂に言って夕食を食べた。いろんな人がいた。
一人で来ている人が多かった。わたしもその一人だ。孤独が清々しいと思っていたら
「お邪魔するよ」と言う声が上から聞こえた。ブルース様だ。
「はい、どうぞ」と答えた時には隣りに、ブルース様。向かいに男性が二人座った。
「僕はコリン・ウェーバー。歓迎するよ」
「わたしはフィリー・ルーカス。よろしくね」
「リリー・ミシガンです。よろしくお願いします」と二人に挨拶した。
「リリー。コリンは空を飛びたくて研究している。フィリーは植物を研究している」
「あっコンロをありがとうございます」
「どういたしまして」
「すぐにお湯が沸いて驚きました」
「そうなんだよ。普及させたいね」とコリンが言った。そうよねと思った。便利だもの。
「リリー、学院は免除に出来るがどうする?」とブルース様が言うと
「それはいいね。研究室においでよ」「農園に来ない」と二人が揃ったが
「いえ、学院はやめません。楽しいので」と答えた。
「うーーん。そういうものかな?」「そうなのか」と二人とも首をひねっていた。
「そうか、まぁ急ぐことはないな」とブルース様は笑った。
「それでは戻りますね」と席を立つと
「送るよ」「送ろう」「送るから」と声が揃った。
「王宮の敷地内だけど、この時間の一人歩きはよくないね」
ということで三人に送って貰った。
お茶に誘ったが、今日は疲れているだろうから、早く休むようにと三人は帰って行った。
一人の夜は想像したより孤独だった。そして孤独は楽しかった。
寝床にいるクーロのクピャ、クピャーと言う寝息を聞きながらわたしもいつのまにか眠っていた。
翌日、目が覚めたら知らない部屋で狼狽えた。そのことをおかしく思いながら、着替えた。
学院へは歩いて行く。ブルース様やハリソン様に相談してそう決めた。
歩くにはちょっと遠いが、馬車を出して貰うのは大げさだったから、歩くと決めたのだ。
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