10 剣術の試合
馬の手入れが終わって着替えると、剣術の会場に行った。来賓の観覧席にはなんか偉そうな人がずらりと並んでいた。ナタリーのお父さんもそこにいる。そして驚いたことにわたしのお父様とアナベルがいた。
ロバート様の応援にいらしたのだ。わたしの婚約者を応援してくれるとは。ロバート様の良さをわかって下さったのだ。せっかく見に来てくれた二人をがっかりさせないためにわたしはペン軸を握り締めた。
馬術競技が終わったようだ。表彰は剣術が終わってから一緒に行われる。
わたしの結果はどうでもいい。ロバート様を応援するのだ。
三試合目にロバート様が出てきた。相手はロバート様より背が高かった。
ロバート様が剣を振り上げた時、相手は脇腹を打った。わたしはペン軸を向けて痛み止めと治療を放った。
ロバート様は痛そうな顔をしたが、なにごともないように後ろに下がった。
それから、相手がロバート様を打つたびにわたしは治療をした。何度攻撃されても頑張るロバート様に歓声があがる。
わたしは婚約者だから誰よりも大きな声で応援してもいいはずだけど、出来なかった。何故なら、アナベルが大きな声で応援しているから。なんだか、ロバート様の婚約者はわたしなのにって思ってしまう・・・
そして、ついにロバート様が剣を振り回したらそれが相手の肩にあたり、剣を落とした。
ロバート様が勝った。アナベルとお父様が拍手してアナベルが
「ロバート様ーー」と呼んでいた。褒めて下さって嬉しいはずなのに、がっかりした。
次の試合はわたしも大きな声で応援しよう。
ロバート様の次の相手が出てくると大歓声があがった。騎士団長の息子さんですごくかっこいい。ロバート様より少しだけかっこいい。
この人の攻撃はとても速かったが、わたしは最初から治療を飛ばしていた。わたしのほうが速いのだ。
それで、ロバート様が勝った。
そして決勝戦。わたしが飛ばした治療でロバート様が勝ち、優勝した。
婚約者が優勝したってことで、わたしは競技場に行こうとしたが、アナベルがいち早く降りてロバート様に抱きついた。
「ロバート様、さすがわたしのロバート様」アナベルはそう言っていた。
わたしのロバート様・・・って婚約者はわたしなのに・・・
だけど、二人に向けられる歓声は、わたしが邪魔者だと知らせてくれた。
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