課外授業①



学園の中庭にある古びた石造りの扉の前に、ゼノンと生徒たちが集まっていた。その扉の向こうには「迷宮」が広がっており、入るたびに通路が変わる不思議な空間だった。かつて学園の創設者が作り上げたとされ、いまだに謎が多いこの迷宮は、実地訓練の場としても利用されていた。



ゼノンは集まった生徒たちに、厳しくも優しい眼差しを向けて言葉を発した。


「今日の訓練では、この迷宮でお前たちの実力を試す。だが、ここは入るたびに通路が変わり、何度も出口が異なる場所へ導かれる。『自分の力』と『直感』が頼りだ。迷ったら自分の心に問いかけるんだ。それが今日のテーマだ。」



生徒たちは緊張した表情を見せつつも、好奇心を隠しきれない様子だった。特にリナは、学園で噂に聞いていた迷宮を前に、少し興奮しているようにも見えた。


「先生、私たちはどこまで進めばいいんですか?」とアレンが尋ねた。



ゼノンは微笑みを浮かべ、少し意味深な答えを返した。「今日の目的は、迷宮を抜け出すことじゃない。自分自身の限界を見極め、恐れや不安と向き合うことだ。迷宮は、ただの障害じゃない。お前たちの心の投影だ。さあ、行ってこい。」


一人ずつ、ゼノンの指示に従って迷宮の中へと入っていく。アレンもリナも、扉の向こうに広がる不思議な暗がりへと足を踏み入れる。迷宮の内部は冷たい石の壁が続き、時折微かに揺らめく光が射し込むのみで、足音だけが静寂の中に響いていた。

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