前のエピソード――ゼノンの気づき

ゼノンとアレンは師匠のもとで数年を過ごし、日々の厳しい修行を重ねていた。ゼノンは既に莫大な魔力と知識を持っていたが、師匠の指導を通じて「力をどう活かすか」について学び、実践と理論のバランスを意識した訓練に専念するようになった。彼の力はますます磨かれ、魔法の精度も飛躍的に向上していった。

アレンもまた、ゼノンの背中を追いながら成長を続けた。若きアレンの純粋な向上心と努力は、ゼノンにとって新鮮であり、その姿を見ているうちに、ゼノンは次第に自分も何かを教え、導く立場に立つ意義を感じるようになった。アレンに何かを伝えようと試みることで、自身の知識もさらに深まり、ただ強さを求めるだけでなく、他者に力を伝える喜びを知ることができたのだ。

ある日の修行後、師匠から「学園」という施設の話が語られた。そこは様々な才能を持つ若者たちが集い、未来の可能性を磨く場所だという。ゼノンはその言葉に興味を抱いたが、次の瞬間、師匠から「学ぶのではなく教える側になるのも一つの道では？」と勧められ、ふと自身の姿が学園の教師として在る光景を想像した。

学園への挑戦

数年の修行を経たゼノンは、師匠に別れを告げ、アレンとともに学園への道を進んだ。しかし、彼が目指したのは生徒ではなく、教師の立場だった。「この経験と知識を活かして、新たな世代を導く役割を担いたい」と心の底から思えたのだ。

学園の教師採用試験は厳しく、実技や筆記に加え、魔力の制御、教え方のスキルも問われたが、ゼノンにとってはどれも既に習得済みの内容だった。試験中、審査官はゼノンの実力と知識の深さに目を見張り、「一体どのような経歴をお持ちで……？」と不思議そうな表情を浮かべるばかりだった。ゼノンはただ微笑み、修行と鍛錬の数年がいかに自分を変えたかを思い返していた。

最終試験を無事に終え、合格を手にしたゼノンは、アレンと共に新たな生活の始まりに胸を躍らせる。彼は学園で、自分の経験と知識を存分に伝え、若者たちの成長を支える教師としての人生を歩み出すことになった。