夜空に浮かぶ

 その夜、

 みかどは空を眺めておりました。

 空には月が浮かんでおりました。


 空に浮かぶ月に、帝は月に還った かの姫の姿を重ねて見ていたとのことです。


 あれから三月みつきったのだなぁ、と。

 あの夜、姫の帰還を阻止できなかったことを悔やみながらも

 姫への執着を手放したかのように振る舞っている己の姿を

 自嘲する笑みを口端にのせ


 酒坏に浮かべた月を飲み干されたのです。




 





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