前のエピソード――500年後の世界へようこそ

小さなクリーチャーは、私の手を引きながら、街の中心部へと導いてくれた。彼の名前は「リリ」と言った。明るい羽音を立てながら、彼は軽やかに飛び跳ねては、時折振り返って微笑む。「ここは『シルバーポート』。未来と魔法が交差する場所なんです。あなたが目覚めたこの瞬間、ここには新たな風が吹いているんですよ。」

道すがら、さまざまな光景が目に飛び込んできた。通りには、異種族の人々が共存し、それぞれの能力を活かして暮らしている。巨大な竜が空を飛び、地面を這うように歩く者や、透き通った水の精霊が人々の周りを舞っている様子は、まるで夢の中にいるかのようだった。

「これが新しい時代の風景です。」リリが目を輝かせながら言う。「かつての人類は、科学の力で多くのことを達成しましたが、魔法を取り入れたことで、さらに豊かになったんです。今では、魔法は日常生活の一部なんですよ。」

私はその言葉に耳を傾けながら、現実とは異なる感覚に心を躍らせていた。街の中心に到着すると、広場には人々が集まり、様々なイベントが行われていた。魔法のショーや、異種族のパフォーマンス、さらにはストリートマーケットが立ち並び、活気にあふれている。

「見てください！」リリが指差した先には、白い煙を放ちながら空中で浮かぶ魔法の球体があった。その周りには子供たちが集まり、歓声をあげている。「あれは『エレメンタルボール』という魔法の球。各元素を操ることができるんです。参加してみませんか？」

好奇心がそそられ、私は思わず頷いた。子供たちと共に、魔法の球体に挑戦することになった。小さなリリが私の肩に乗り、「大丈夫、翔太さん。最初は簡単な魔法を試してみるといいよ。」と励ましてくれる。

意を決して、私は空気を操る魔法に挑戦した。心を集中させ、手をかざすと、次第に風が集まり、ふわりと球体が浮かび上がる。「すごい！翔太さん、やった！」リリの声が耳に心地よい。まるで、自分の中に眠っていた力が目覚めたような感覚だった。

その瞬間、心の中の孤独感が少しずつ薄れていくのを感じた。新しい友達ができ、夢のような世界での冒険が始まったのだ。この瞬間、私は過去を手放し、未来へと進んでいく決意を固めていた。何が待ち受けているのか分からないが、私には新たな仲間がいる。彼らと共に、未来のこの魔法の世界で、自分の存在意義を見つける旅が始まるのだ。