六章 月の宴②
「グランツが喜んでくれるのなら……」
グランツのためなら頑張れる。
グランツのためなら、頑張りたい。
そう思いながらもイヴはムンと両手を握り締めた。
「フフッ、イヴリース様はグランツ様のことが本当にお好きですね」
「ね〜。見ていて微笑ましいくらいだわぁ」
「ボクは、ボクの主が幸せなら一番嬉しいことだな」
「そうだね。イヴリース様がダンスを上手くなれるよう練習相手になろうか? それともオブシディアン様に頼むか……。いや、あの御方も多忙だから悩ましいな」
四人の侍女達はそれぞれ考えを話し合う。
どうしたら計画が上手くいくか。
どうすれば主達が喜ぶのか。
とても献身的に考えてくれている。
それが嬉しくて微笑ましくて四人の侍女達を見つめてはニコニコと微笑んでしまう。すると、
「あらぁ? イヴリース様、とても嬉しそう。何か良いことでもあったの?」
「あ……、あの。皆さんが、私達のために色々と考えてくれるのが嬉しくて、幸せで、つい……」
「イヴリース様は謙虚な御方だからな。もっと積極的になれるようアドバイスもしたいな」
「ボクもそれは賛成」
「はわわ……」
アンデシンとフォスフォフィライトの言葉に赤面しながらも、グランツのことを思うともっとくっつくべきなのだろうかと一人悶々と考えてしまった。
次の更新予定
2024年12月22日 16:00
豚令嬢〜散々豚と罵られてきた私が、辺境伯から寵愛を受けています?〜 櫻木いづる @sakuragi-izuru
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