第55話 頭を使ったやり方

そうして数分後──。


「お客様!これ以上は!これ以上はどうか!」

「えー?もうちょっとだけ良いじゃないですか」

「つかさ!あっちに大きいクレーンゲームがあったよ!」

「え、マジか!そりゃあ行くしかねえな!」

「お客様ああああ!」


 俺らの暴れ具合に瑠実はドン引きしながら「ごめんなさい」と店員何度も謝っていた。

 別に俺らは普通に遊んでるだけなんだが……。

 お、イイもの発見。


♢♢♢♢♢♢


「じゃ、また来るから」

「もう二度と来ないでください……」


 俺らは見事に出禁を食らってしまった。

 なぜだ……。


「そりゃ、あんなに景品を取ったら出禁食らうわ」


 瑠実はジト目で俺を見る。

 痛い。その視線がめちゃくちゃ刺さって痛いよ、瑠実さん。

 俺らは泣く泣くゲーセンを出て、次にいい場所が無いか探す。


「つかさ!あっちにおっきいゲームセンターがあるよ!」

「何っ!?これは行かないと──」

「束咲くん?」

「……うす」


 瑠実から睨まれて思わずビビって大人しく縮こまってしまう。

ただ、うちには最終兵器が……!


「神楽ちゃん。ここのゲームセンターを我慢したら、後で好きなもの何でも買ってあげる」

「ホント!?」

「うん。本当だよ」

「じゃあガマンする!」


 瑠実はその言葉を聞いてガッツポーズを小さく取った。

 コイツ、神楽ちゃんを買収しやがった!

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