第8話

千晴と佑里は居酒屋、むらさきで飲んでいた。

「あーあ」

千晴はボヤきながら、カウンター席でうつ伏せている。

「なかなか独り立ちの許可が出なくてさ。もー泣きたい」

「千晴ちゃん、中川部長から目付けられてるもんね……」

「部長から言われた。お前を1人で営業に回すのは、うちの会社の恥を晒して歩くようだって」

この日も明日会中央病院での営業が終わった後で、千晴と佑里は呑んでいた。

「酷いと思わないか?佑里」

千晴はそう言いながら佑里の顔を見つめる。

「やっぱ、南課長を呼び捨てにしたのが原因じゃない?」

「大学の同期にそう言われたら信じるだろ?普通」

千晴はボヤく。

佑里は何も言わずに、千晴の背中を優しく抱いた。

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