第35話

祐希は夢中で小説をパソコンで打っていた。学校から帰ると直ぐに自分の部屋に篭り、パソコンを打ち続ける……それが祐希の日課だ。

その時だけは愛奈と一緒にいられるから。愛奈への愛しい想いを祐希は全て小説に書き綴っていた。

もうすぐ小説“といろ"の応募の締め切りが迫っていた。

題名は“いつもの朝“だ。

令和の今の時代はまさに1分後にはどうなっているか分からない。今はこうして家でスマホをいじっていても、1分後には自然災害で家も街も壊れているかもしれない。家族がみんな揃って朝ご飯を食べられる事がどれほど幸せな事か。私は心からそう思う。いつもの朝を明日も同じように迎える事が出来る幸せを噛み締めて生きて行きたい。

平凡な毎日……それほど幸せな事は何処にもないのだと知っている人がこの国にも世界中にもたくさんいる。作者の水島もそう思う1人だ。

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