レミュエル

上白糖 赤飯

ミシェル・アルトリウス

 夜の森にレミュエルがいた。場所は隣国であるブリタニアールの領域。肉眼では豆粒程の大きさで城壁が見える。


 レミュエルは猫のように目を光らせ、何かを観察した。


「馬車が動いた。行くよ」


 レミュエルの周りにいた影が馬車へと向かった。レミュエルはその場に残り、眼球を光らせ続ける。


「ん?」


 レミュエルがスナイパーライフル型の光の銃を出現させた。光る目でを追い、撃つ。


 鳥の群れが一斉に羽ばたくような銃声が響いた。それにより、影の一体が沈んだ。


「裏切りは一体?いや、まだいる」


 馬車を中心に、アイアンサイトで森を見渡す。瞬きを忘れる程の集中力で狙っていると、音もなく後ろから影が現れた。


 影はレミュエルを光の銃で狙い、撃った。しかし、ギリギリでレミュエルは躱した。音に反応したのだ。即座に光のナイフを出現させ、影の頭へ命中させる。影は倒れ、あらゆる穴から出血をした。


「これで二体。リュドミラのとこか?」

「そんなわけないでしょ」


 堂々と影が歩いてきた。


「私はソニア。リュドミラ人事の犬だよ」

「そうと言い切れる理由は?」

「――――狂人レミュエルとあろうものが、なんでそんな理性的なの?」


 レミュエルがナイフを投げた。


「あっぶない!なにすんの!」

「答えろ」

「リュドミラから出されたのは私だけだからよ!」

「なるほどね。ならミシェル様を守りに行って」

「無理」

「なんで?」

「他の犬どもがあきれるほど裏切ってる。たぶんだけど、素直に守ってんのお前んとこの人事と、リュドミラだけだよ」


 光る目で森を一望する。影同士が殺し合い、馬車の護衛付いている兵士ですら互いに殺し合っていた。


「その心眼で見える景色はどう?もう終わりだよ。ブリタニアールの現国王は殺される。それに関係しているカリステンは、他国からの信頼を失う。せめて中にいる、アルトリウス家の人を殺せたら一件落着なんだけど」

「そう思ってる影がいるからそうなった。いや、人事か」

「私は帰る。リュドミラはこれを読んで私だけにしたんだろうね。じゃ」


 ソニアは即座に帰った。目を光らせ完全に帰るのを待ち、視界から消える。そしてまた森を一望した。


 馬車が倒れた中からミシェルと子供が出てきた。ミシェルはすぐさま喉を切られ、子供は放置された。正確には、子供の処置に戸惑っていた。


「子供?」

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