エネルギー源②
勇者たちはヴィクトールの指導を受け、魔界の「エネルギーの源」を目指して歩き始めた。道中には荒れ果てた大地が広がり、遠くには裂けた空が広がっていた。どこまでも続くように見える砂漠のような景色の中に、何もないように思えた。
「これ、本当に『エネルギーの源』があるのか?」と、シルビアが不安げに口にした。
「心配するな。あの場所は、魔界の中心に近い場所だ。魔界を支配する力が集まっているはずだ。」ヴィクトールが冷静に答えるが、彼の顔にも若干の緊張が浮かんでいた。
その時、突如として大地が揺れ、暗雲が一気に空を覆い尽くす。大きな影が迫り、空気が重く感じられる。
「何だ、あれは!?」カインが叫び、みんなが周囲を警戒する中、大地から現れたのは巨大な魔物、岩のような皮膚を持ち、鋭い牙と爪を持つ獣のような存在だった。
「エネルギーの源に近づく者には、必ずこの魔物が現れる…」ヴィクトールが呟き、武器を構えた。
その魔物は一声叫び、岩のように硬い体を揺らしながら突進してきた。勇者たちは一斉に身構える。
「みんな、気をつけろ! あれはただの魔物じゃない、魔界の力を宿した守護者だ!」ヴィクトールが叫ぶと同時に、魔物は猛然と突進してきた。
「クソッ!」カインが大きく一歩踏み込むと、彼の周りに雷のようなエネルギーが閃き、魔物に向けて放たれる。
「行くぞ、みんな!」ルナが杖を振るい、強力な火の魔法を放つと、火球が魔物の顔面を直撃。しかし、魔物は驚くべきことにほとんど傷つかない。
「くっ…魔物が硬すぎる!」シルビアが剣を振り下ろすが、魔物の皮膚にはまったく効果がない。
「それなら、違うアプローチを試すしかない!」エレナが、再び槍を構えて駆け込む。彼女の槍が魔物の脇腹に突き刺さり、少しだけ深く刺さったが、それでも十分なダメージとは言えない。
「みんな、何も通用していない!」ライアンが、呼吸を整えつつも焦りの色を見せていた。
ヴィクトールが一歩前に出ると、肩を怒らせて魔物に目を向けた。彼の周りにはかすかに黒いオーラが漂い、周囲の魔力が集まっていくのが感じられる。
「我が名はヴィクトール、この魔界の戦士にして、この地の主に与えられし力を宿す者だ。お前のようなものに、我が力を見せつけてやろう!」その言葉とともに、ヴィクトールは魔物に向けて手をかざした。
すると、突然魔物の周りに黒い雷が迸り、魔物は一瞬動きを止めた。
「この力、まさか…」エレナが目を見開き、魔物の動きが急激に鈍くなったのを見た。
「今だ、全力で攻撃しろ!」ヴィクトールが叫び、勇者たちは一斉に攻撃を仕掛ける。
カインは雷撃を放ち、シルビアはその隙に素早く魔物の背後に回り込み、剣を突き立てる。ルナも火球を放ち、エレナは槍で魔物の目を突こうとする。
次々に繰り出された攻撃が、ようやく魔物に深い傷を与え、その体が揺れ始める。
「やったか?」ライアンが息を呑む中、魔物の体が崩れ始め、最終的に一度に粉々になった。
「ふう、どうにか…」シルビアが肩で息をしながら言った。
「みんな、よくやったな。だが、気を引き締めろ。これで終わりじゃない。」ヴィクトールが険しい表情で周囲を警戒しながら言った。
その時、遠くの方から再び異様な音が響き渡り、さらなる魔物が現れようとしているのが見えた。
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