後は知らん
隅田 天美
第1話 俺は死んでしまった
昔、フォークソングで酔っ払い運転をして田んぼに落ちて死んで生き返った男の歌があった。
その歌曰く。
天国には美人がいて酒が美味い。
確かに、俺が死んでも酒は美味い。
ただ、いる場所は天国ではない。
地獄でもない。
そこに住まう魔物、天上人、神、悪魔などなどが協定を結び一切争わない中立世界が『中央界』。
衣服や姿などは確かに威厳ある神や魔物だが、人間の姿に化けて穏便に済ますものも多いし、生前比較的善行を行ったり普通に暮らしていた人間は、ここで閻魔様たちの裁判や最後の審判まで生前の変わらない暮らしをしている。
俺?
俺は特例。
姓は平野平。
名は春平という。
最近死んだ、新入りだが、見た目はジジイであり、実際、俺は癌で死んだ。
忍者の末裔で暗殺を専門に扱う一族の元に生まれた。
あとはお察し通りの人生だ。
本来なら、地獄で舌や目を抜かれたり、業火に焙られていないといけないものなのだが、ちょいと訳ありで現在は中央塔という市役所や病院、警察などの複合施設の中にある図書室で魔導書の日本語訳をして生計を立てている。
この世界は人間界をモデルにしているので休日もある。
ただ、複数の宗教もあるのでクリスマスとか正月はなく、ただの休みだ。
そんな善良な(?)日々を送る俺が、再度死ぬことになった。
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