第4話 告白
東の地平線が白み始める
どこからかスズメの鳴き声がして
例によって
カラスがうるさく鳴いている。
やかましいなぁ。
そんな事を思いながら目覚まし時計に目をやるとまだ5時前だ。
あと1時間はのんびりできるな
頭まで布団を被る
温かい〜最高だ····このまま寝てしまおう
時間になればお袋が起こしに来る
それでは、おやすみなさ〜い
ガチャ!
なんだ?ドアの開く音だ。
おいおい、まだ5時前だぞ勘弁してくれよ
お袋が近づいてくる気配がして
枕を抜き取られた。
えっ?
そして掛け布団の上から枕らしき物で俺の頭を叩く。
バフン!バフン!バフン!
違う、これはお袋じゃない!
一体誰なんだ?
バフ!バフ!バフ!
叩くテンポが速くなってきた
判った起きる!起きるから!
慌てて上半身を起こす。
「やっと目を覚ました寝坊助さん」
ベッドの横には枕を持った恵茉がいる
「なんだよ?こんな時間に」
ちらりと彼女の顔色を覗う
いつもの彼女のように見えるが
顔を見てもその人の心の中までは判らない。
彼女は大きく息を吸い込み、一気に言い放つ
「なんだとは何よボクなんて4時から起きてるんだからね?もうバスなんて乗りたく無いんだから早く起きないと遅刻よ遅刻!それともまだ枕で打たれたいのかしら?」
そうか、やはりバスには乗りたく無いか
と、言う事は。
「駅まで歩きー!」
彼女は枕をベッドに放り投げると
腕を組んで
「そうよ歩いて行くの」
「判ったら早く学校へ行く用意して朝ごはんを食べて」
まったくもってその通りなのだが、なんか納得いかないぞ
仕方がない、まずはシャワーでも浴びてくるか
ベッドから起きてスタスタと歩き始めると、後ろから彼女の声が。
「ちょっと、どこ行くのよ」
「シャワーを浴びてくるんだよ、俺昨日風呂入ってない」
「ボクは別に構わないわよ? さっさと学校へ行く用意をして」
お前がよくても周りがどう思うかな
「そういう訳には行かないだろう五分で済ませるからさ」
彼女はハンガーから制服を手に取り、タンスからワイシャツ、下着、靴下を出すと
まとめて俺に手渡した。
「早くシャワー浴びて来てよ、ボクはキッチンで待ってるから」
彼女は部屋を出てキッチンの方へ向かって行った。
(何か沸騰直前のヤカンのような感じだったな)
シャワーを浴びて脱衣室で服を着ながらそんな事を思った。
やはり昨日の事故の影響かな?
まぁ、歩いて駅まで行くんだ時間はたっぷりある
その間の会話で何か手がかりを掴めれば、いつもの彼女に戻す事も出来るかも知れない
自室に戻りカバンに教科書やノートを詰め込みながら今後の事を考える。
まずは会話だな。
これは大丈夫だろう
今朝も自然に会話が進んだ
問題は会話を対話へと導けるか
タダのおしゃべりでは意味が無いし
対話でなければ彼女の深層に迫れない。
でも。
彼女の心の奥底にあるモノが
俺の想像を越えていたらどうしよう。
やはり、この辺りは
スクールカウンセラーに任せた方がいいのかも。
ただ、カウンセリングの内容は
個人情報になる
当然、俺は知る事が出来ないぞ。
····知ってどうなるんだ。
誰にだって知られたく無い事は有る
俺の考える
『彼女の良き理解者でありたい』
これはタダの好奇心では無いと
言い切れるか。
「ふーっ」
なに自分を問い詰めているんだ?
俺が彼女に何をした
すべて事故に遭ったせいだ
俺は何も悪く無い!
俺だって限界なんだ。
学校へ通うのは構わない
でもさ
どんな顔をして教室に入ればいい
昨日の事故の事を聞かれたら
臨場感たっぷりに語れば気が済むのか
お前らは!
「はーっ」
ダメだ俺はどうかしている
スクールカウンセラーより先に身近な人、例えば親父とかに相談してみるというのはどうだろう、今日帰宅したら少し話をしてみよう。
それよりも。
腹が減ったな
早く朝食にしないと
彼女も待たせているし。
キッチンに着くと、親父とお袋それに彼女がのんきにお茶を啜っていた
「あれ? 親父、会社は?」
親父とお袋から
「おはよう」と、返ってきた
俺も慌てて「おはよう」と、返す
続いて彼女も「おはようございます」なんだ? 猫かぶりやがって。
親父はお茶を啜りながら
「同僚が車で迎えに来てくれるんだ」
「お前たちも乗せてあげたいところだが他にも回る所があってね」
駅には寄らないと言う事か。それと今ここで相談に乗ってもらうと言うのも、ちょっと無理だな。
「大丈夫だよ駅なんて歩いて直ぐだからさ」
椅子に座ると、ちらっと朝ご飯チェック!
焼き鮭に味噌汁それに漬物か
おっ、今日の味噌汁はワカメの他に豆腐も入っているぞ!
「いただきます」
まずは味噌汁から
ズズズッ
この味は····フリーズドライか
まあ昨晩は豪勢だったからね仕方がないか
しばらく食費は切り詰めるのかな?
味噌汁とにらめっこをしている俺を見てお袋が一言
「やっぱり判っちゃったかな、今朝は急いでいたから」
そういう事か、一安心。
でも、
「俺は別に構わないよ?」
そのやり取りを見ていた親父が
「そうか?ならばお前は明日から即席味噌汁だなハッハッハ!」
「親父〜勘弁してよ」
「冗談だよ。お前達に食べる物で苦労はさせないつもりだ」
お袋は「ありがとう」と、言いながら親父の湯のみにお茶を入れる
俺も「ありがとう」と、言った。
彼女は微笑んでいるが
どこか冷ややかな感じがするのは気のせいか。
空が明るくなって来た
夜が明ける
退屈な夜が明ける。
どこかでスズメが鳴いている
スズメは好き
可愛いから。
でも黒いコイツらは嫌い
わたしが佇んでいる電線に集まっては
やかましく鳴いている
どこに行っても付いて来るのはナゼ?
どうしてわたしの居場所が判るの!
「カーカーカー!」
ウルサイ!
わたしは電磁波を発生させてカラスを
追い払う
アイツらは慌てて飛び去った。
これで、しばらくは静かになる。
それにしても
昨晩の彼と父親の対話には正直驚いた
たかだか二日の間に、あれほどまでにわたしの正体に迫るとは思っても見なかった
わたしの方にも隙が有ったのかも知れないけど。
事実バスの事故は、彼の新しい幼馴染みに嫉妬して直情的に亡き者にしようと起こした物だから。
もっと計画的に行えば彼らに付け入る隙を与えなかったかも知れない
それに被害者だって少なくなってたかも。
とは言え彼女を失った彼が絶望に堕ちるのは見たくない
その点で言えばお互いにとって。
一方的に仕掛けておいてお互いか。
そう言う事は意思疎通ができてから言うものだ
そういえば彼はわたしとコミュニケーションを取るために何か考えているらしい。
仮に上手くいっても一体何を話せばいいのか····
昔の事はあまり覚えて無いし
やはりバスの事故に関してかな
その件について彼に詫びて許しを乞えば良いのだろうか。
それは違うね。
謝るので有れば相手は事故の被害者で、彼に対してでは無い
それに今は彼との再会を喜ぶ事も難しい状況だ。
わたしはここから立ち去るべきではないだろうか?そもそも彼を一目見る事が出来ればそれで良かったのに
どうしてこんな事になったのだろう。
····どうして。
生前のわたしは恵まれていた
優しい父と母、気のおけない親友たち
そして素敵な彼氏。
でも。
わたしが難病に侵されると、それらも少しずつ歪んで来た。
父と母は高額な治療費を巡って
病室内でも言い争い
そのうち看病を病院に任せて
面会にも現れ無くなった。
親友たちは
ある日を境にお見舞いに来なくなった
両親がわたしを退学させたから。
彼氏は
わたしが病室で休んでいる間に手紙を置いて
それっきり
手紙には、お互いのために別れようと書いてあった。
病状が悪化してわたしが死ぬと
いつの間にか電線の中にいて
どう足掻いても抜け出せない。
初めは絶望感に囚われていたけど
電線は街中至る所に張り巡らされている事に気が付いて
しかも移動は自由自在、その気になればどこにでも行けて何でも見て回る事が出来る。
早速、皆んなの様子を見て回った。
すると
父と母は従弟を養子にしていて
親友達はわたしが初めから居なかった者のように振る舞い
彼氏には新しい彼女が出来て。
わたしは再び絶望感に囚われて
早くお迎えが来ないかと
待って見たけど
虹の橋なんて現れやしない
一体、わたしの存在って何だったのか。
そんなとき思い出したのが
子供の頃の幼馴染み
彼は今何をしているのだろう?
幸い電線は至る所に張り巡らされている。それを伝ってここまで来た
そして、本当に一目見れば立ち去るつもりだった。
「それじゃあ行ってきます!」
「行って参ります!」
二人が家から出てきた
どうしよう?このまま付いて行こうかな。
「駅までどれくらいかかるんだ」
「ボクなら1時間ぐらいで着くけど」
歩いて行くのか、バスは····
そうだ昨日わたしがダメにしちゃったんだ! 悪い事をしたな。
それともバスに乗るのは怖いとか
どちらかと言うと、こっちだね
彼らに聞いた訳では無いけど
もし、わたしが同じ目に遭ったら
バスに乗るのをためらうかも。
そうか。
昨日、バスに乗ってた人達は
怖い思いをして、亡くなった人もいた
わたしは取り返しの付かない事をした
この罪はどうやって償えば良いの?
「ところでボク走らないよ?」
彼女は、さも当然かのように話した
「俺だって朝から走らない」
彼女は俺の顔を見ながらしばし考えて「じゃあどうするの、早歩き?」
「そういう事、疲れない程度にね」
1限目は体育だ、体力は温存しておきたい。
「だったら早く行こう!ここで話してる時間がもったいないよ」
「おっし、遅れるなよ?」
歩き出したが彼女は立ち止まったままだ。
「何やってんだよ」
彼女は右手を前に出して一言
「ボクをここに置いて行くの?」
仕方がないなぁ
俺は彼女の所まで戻り右手をしっかりと握ると
再び歩き出した
「駅までだからな?」
「ぶー!学校まで!」
そんな恥ずかしい事が出来るか!
でも朝っぱらから無用なトラブルは避けたい。
「いいけどさ、その代わり遅れるなよ!」
「それは君次第だね」
どう言う事だ?まぁ、いい
俺は彼女の手を引いて早めに歩き始めた。
朝焼けが輝き空気がひんやりとしている早朝の住宅街
彼女の手を引いて駅へ向かう
俺は結構な早歩きだが、彼女もスマホを見ながら着いて来る。
正確に言えば俺に引っ張られるがままになっていると言う訳だけど
この先1時間近くこの調子で大丈夫かな?止まる時は声をかけないと、コケるんじゃないかな
あるいは俺にぶつかるとか
どちらにせよ文句言われるぞ。
声をかけるにしても、いきなりだと間に合わないかも
会話の流れの中で声をかけられればベストかな〜
会話ねぇ····
とりあえず話題はたくさんある
でも、どれも触れたらノーグッドのような感じだ
うーん、無難な話題かぁ。
朝ご飯は何を食べた?
『それを知ってどうするの』
お前のお父さん何か言ってなかった?
『別に何も』
今朝のお茶は美味しかった?
『いつもと同じよ』
どうして彼女の答えが
否定的なモノばかりなんだ
まてまて、これはあくまでも俺の想像だぞ
彼女の答えは実際に聞いてみないと
判らないか。
それより無難な話しで済ませたら
彼女の事は判らず終いだ
俺が今、聞いてみたい事は
スクールカウンセリングを受けるか否か
まぁ、否定的な答えが返って来るだろうけどね
競泳部では勝負の世界に生きる彼女
自分の弱さを簡単に認めるとは思えない。
でもなぁ、逃げてばかりじゃどうにもならない
とりあえず今日スクールカウンセリングを受けるかどうか聞いてみよう。
「なぁ、今日の予定の事なんだけど」
しまった〜あまりにも間抜けな聞き方になってしまった。
「今日の予定がどうかしたの?」
そうなるよな
しかし会話はキャッチボール、続ける事に意味がある
「俺、学校でカウンセリングを受けようかと思うんだ」
「何か悩みでもあるの?」
うむむむむ。
「ほら、昨日の事故の事で」
彼女の知る範囲でそれ以外に何がある?
「忘れちゃいなよ」
え?
お嬢様、今なんと言いました。
俺の聞き間違いで無ければ
忘れろと?
いやいや、それは無理でしょう
普通あんな体験は一生の間に無いから
忘れろと言われましても。
そうだ!
「でも、乗客の中に俺達と同じ学校の制服を何人か見かけたよ」
他の乗客はどうでも良いと言う事ではないけど
「気にならないのかな」
少し気が咎めるけど他に良い手を
思い付かない。
「別に?ボク達じゃ無いし」
なんですとー!
もう、打つ手がないぞ。
いや、まだだ俺の考えを押し付けるのではなく彼女の気持ちになって考えてみよう。
····とは言う物の
俺はどうすれば良いんだ
女子の考えている事なんて判らない。
この男は何を気にしているんだろう
助かったんだから、それで良いじゃない
だからもう一度言う
「忘れちゃいなよ」
そう、忘ればすべて解決する
ボクが昨日の事故で学んだ事の一つ。それに対して彼は未だに事故の記憶に囚われている。
『かわいそうな男』で済ませるのは簡単だけど、幼馴染として誰よりも大切な彼として放って置く事は出来ない。
でも、どうやって彼を事故の呪縛から解き放てばいいのか判らないんだ。
単純に慰めれば問題は解決するかな?彼と口づけを交わしたり身体を重ねる事に抵抗はない。愛しているから····
ただ、そんな単純な方法で元に戻るような男に興味はない。かと言って他に良い方法も思いつかないし、ボクはどうすればいいのかな。
「お前は大丈夫なのか?」
ふーっ、だからさぁ。
「何かあったら学校休んでるよ」
お互い何事も無かったから、こうして学校へ行くんでしょ?学校でカウンセラーに何を話すのかしら。
「それはそうかも知れ無いけど」
彼は言い淀む
そして、やはり彼女には何か変化があったのだと確信する。
「急いでいるんでしょう?話をしている暇なんて無いよ」
彼女は少し突き放すような言い方だ
しかし彼との間に信頼関係も伺わせる
それを感じ取った彼は少し安心するが
つい、ぶっきらぼうになってしまう
「それじゃ急ぐぞ!」
彼は彼女の手をしっかり握り、歩みを早めた
彼女は歩調を合わせて着いて来る。
『思っているより、あいつは強いのかもしれない』
彼は歩きながら、そんな事を考えて
彼女に気付かれ無いようにほくそ笑む
彼女は繋いだ手から彼の想いを感じ取り、少しだけ誇らしい気持ちになった。
彼の手を更に強く握る。
「おい!」
「なぁに?」
彼は嬉しい気持ちを抑えきれずに
つい話しかけて困ってしまう
そして口をついて出たのは。
「今日のカウンセリング一度考え直す!たぶんお前がいれば大丈夫だ」
彼には未だ迷いがあるが偽らざる本当の気持ちだ。
「でしょう?少しは見直した?」
彼女の得意げな一言が彼の心をくすぐった
そして彼は思わず口に出す
「俺、お前の事が好きだ!」
彼はしまったと思い歩みを止める
「わわわ!」ドスン!
彼女が彼にぶつかった。
「急に止まって何よ?迷うくらいなら告白しないで」
彼は慌てて
「迷ってなんかいないよ!」
彼女は微笑みながら
「本当に?」
そう言いながら右手を彼に差し出す
彼は差し出された手を取り
強く握りしめ
「本当だよ」
彼女を見つめる。
彼女は頬を少し染め
優しい笑顔で一言
「ボクも好きだよ」
彼は嬉しい気持ちを抑えきれなかったが、ここは住宅街のド真ん中
諸手を挙げて喜ぶ訳にもいかない
「ありがとう」と言うと
彼女の右手を左手で握り直し
再び歩き出した。
彼女は彼の手を強く握り、同じように再び歩き出す
繋いだ手からは彼の喜びが伝わってくる
彼女も嬉しくなって思わず微笑んでしまう
しかしここは住宅街、誰かに見られていなかっただろうか?
彼女はゆるんだ口元を左手のスマホで隠した
そして歩きながら四方に目配せをする
幸いな事に誰もいない。
電線に停まるカラスが気になったが
いつもの事だ。
朝日が顔を出す前に
この街から出ていくつもりだったけど
二人の事が気になって
結局後を付いて来てしまった
でも、そのおかげで面白い場面に居合わせた。
告白か〜!
わたしが元彼に告白した時の事を思い出す。
わたしと彼はタダのクラスメイトだったけど、同じ部活へ入部した事をキッカケに話し友達になって。
始めの頃は、よくいる男友達くらいに思っていたけど
彼が抱えている孤独感とか不安を知ると、なんか放って置けなくてね
少しずつ彼と過ごす時間が長くなって
いって、彼に惹かれる自分に気が付いた
それが恋心の芽生え。
部活では将来を期待されていた彼
一方でごく普通の部員だったわたし
どう考えても釣り合わない
でも
恋する気持ちは加速する。
わたしはどうしてしまったのか
わたしはおかしくなったのかな
初めての感情にとまどって
真夜中の部屋に一人でいる時がとても悲しくてね。
彼にこの気持ちを打ち明ける事にしたの。
でも。
直接話す勇気がなくてSNSで思いの丈を綴って、あとは送信するだけ
その段階で送信をタップする事が出来なくて、しばらく固まってたっけ。
心臓の鼓動が耳に響いて
人差し指が震えて
スマホの画面が遠い物に見えて。
それに加えて
ただの話友達がこんな感情を持っていいのかな? とか、断られたら学校行けないとか。
色々な思いが頭の中をぐるぐる回ってね〜
錯乱している自分に気がついて
我に返って告白文を読み直すと
とてもひどい内容だった
勢いで送信しなくて良かった。
慌てて消去して、シンプルに書き直した
「あなたが好きです」
「わたしと付き合ってください」
今度は迷わず送信。
そして彼からの返信は
「明日直接会えないかな」
これなら大丈夫!何の根拠も無い自信だけど、わたしには手応えが有った。
翌日、出会った彼から告白をされて
晴れて恋人同士!
わたしたちは付き合う事になった。
あの時は嬉しかったなぁ。
それからは
わたしと付き合っている事で彼の成績が下がったなんて言われないように
勉強に部活も頑張った。
いつしか二人は恋人兼良きライバルに
充実した日々を過ごしたの。
過去の思い出に浸るなんて久しぶり
なんだかフワフワしてきた
でも過去ばかりじゃつまらない
わたしの未来を歩みたい!
もし幼馴染の彼がわたしとの接触を試みているのなら、思い切って相談してみよう
そこからわたしの歩むべき道が見えるかもしれない。
道か。
電線と言う名の道ならば無数に張り巡らされているのだけれど
ただ行ったり来たりでは意味が無い
ここから抜け出す方法は無いのかな
まずはそこからだね。
あ。
考え事をしていて彼らを見失ってしまった
まぁ行き先は判っているから
追いかければ良いか
わたしの方が移動速度は速いし。
それにしても彼らの関係は、これからどうなって行くのかな?
まぁ、それは彼ら次第か。
わたしは干渉しない方がいいかも知れない。
でも。
少し気になるよね。
ちょっとだけなら覗いてもいいかな?
いいよね、ここは恋愛の先輩がしっかりと見守らないと!
彼らが道を踏み外さないためにも。
よし! 久しぶりに充実して来た
頑張るぞ〜って、二人の関係に干渉はしないんだった
そうなると、どうすればいいのでしょう
見ているだけなら、ただの興味本意と変わらない。
ここは幼馴染みの彼と話し合う方法をわたしも考えるべきだね
以前のようにラジオの中に入って話し掛けるのが手っ取り早いけど
いきなり話せば警戒されるかも。
彼女の方はどうだろう。
ダメだ、まったく面識のない相手と会話を成立させるのは難しいです
それに一度は殺意を覚えた相手
わたしの方には何となーく苦手意識が。
女子同士とは言え、簡単に打ち解ける事は有り得ないよ。
やはりココは彼を頼って、でもどうやって対話に持って行けば〜
ああぁ〜わたし、さっきと同じ事考えてる
皆んな、これが堂々巡りと言う物よ
誰?
皆んなってドコのダレなのよー
とにかく落ち着いて
落ち着け、ワタシ!
ふううぅ····
結局わたしはどうすれば良いのかな?
先ずは情報収集だね、わたしは2人のことを知らなさすぎる
今晩、彼が眠りについた時を見計らってPCに潜入、ハードディスク を徹底的に調べ上げて 彼の秘密を片っ端しから白日のもとへ····
違う、それは違う!
しばらくの間2人を観察していれば 次第に判ってくる物かな〜
でも時間がかかるのはな〜
いや、わたし暇だけどね〜
やはり彼と直接話す機会を待つしかないのかな。
続
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます