第17話 インターハイへ

 ――インターハイの日はあっという間にやって来た。


 開催地となる県まで、あたしを含めたボクシング部員は大移動することになる。


 今回は飛行機での移動だった。遠くまで高速バスとかじゃなくて本当に良かった。あれは辿り着くまでがしんどいので。


 飛行機を使ったせいか、目的地にはわりとすぐに着いた。減量でイライラ気味のところもあり、早く現地に着けるのは助かる。


 宿舎に到着すると、荷物を置いてすぐに調整レベルの軽い練習をした。


 減量は順調。アマチュアボクシングはプロと違って試合当日の計量になる。そのため、時々プロ選手がやっているような過激な減量をやると、試合をするどころではないコンディションになってしまう。リカバリーの時間がほとんどない分、アマチュアは計量に対して慎重にならないといけない。


 宿泊所は海沿いだった。


 地元には海がないので、浜辺を散歩してのんびりと過ごす。


 夕方になると、沈みゆく太陽が海に反射して綺麗だった。こういう景色を見ていると、なぜだか切なくなってくる。


 明日から試合か。


 実感があるような、ないような……。妙な気持ちになってくる。


 あとは試合をして、結果を残すだけ。


 前世でも大事な試合っていくらかあったけど、高校生にとってはインターハイって一番大事な試合に当たるんだよね、きっと。


 この落ち着かない感じ、生まれ変わってもかわらないな。


 夕日に照らされながら、軽くシャドウをやって気をまぎらわせる。


 自分が負けるとは少しも思わない。


 だけど、妙な胸騒ぎを感じている。


 今回のインターハイではなにかが起こる。そんな予感がするのだ。


 だからこそ、自分に出来ることはしっかりやっておかないと。

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