第13話 見たくない情報
そう言えば、あたしが死んだ時の情報ってあるんだろうか?
あえて考えないようにしていたけど、あたしが死んだのはニュースにはなっているはず。
世界チャンピオンになって、リングの上からプロポーズするはずだったんだけどな……。
そういうドラマチックなことを考えていた。思い出すと恥ずかしいけど、普通にプロポーズするのが恥ずかしくて出来ないので、世界を獲ってテンションがMAXの時なら出来るかな、とか「俺」は考えていた。
だけど、実際は――
世界戦で負けるどころか、試合になる前にトラックに轢かれて死亡。なんだよそれって感じなんだけど、そういうことって生きていれば実際に起こる。死んだけど。
う~ん。なんかカッコ悪いよな~。トラックに轢かれて死んだとか。どうせ死ぬならリングで闘って弁慶みたいに立ったまま死んでる、みたいなのがいい。
この肉体でもう一度世界でも獲りに行く?
それもいいけど、男子とは試合は出来ないしな~なんて思う。
世界戦で闘うはずだった相手は幼少の頃からのライバルで、インターハイやらでもたびたびぶつかり、戦績は勝ち負けが同数だったと思う。あいつのせいで(?)、あたしは高校6冠にはなれなかった。
今は「あいつ」が世界チャンピオンなんだろうか?
順当に考えるとそうなんだろうな。考えたくもないけど。
でも、「俺」と闘わずして世界王者って腹が立つな。同じような想いを抱えた生霊が世界にはたくさん漂っているんだろうか?
当時に何があったのか、ちょっと調べてみよう。
ようやく過去に向き合う覚悟が出来たのか、あたしはスマホで調べものを始めた。
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