第20話 交渉と対話2
「環境保護団体…?」
「所謂、理由を付けて暴れたい過激派だね。私がいた施設を児童虐待してるとかの情報を掴んで襲撃したんだよ。国の誤算は思いの外、過激派が強くて私はアッサリ施設から解放されたの」
「レイカは今、その団体と行動を共にしてるのか?」
「んーん。解放されたのは嬉しかったけどさ
…武力を提供して、幹部に身体を抱かせろなんて言われたから腹が立って何人か殺して、武器を奪い放浪してたよ…そしたら急に異星人が攻撃してきて吃驚!で、今に至る感じかな」
「生き延びて何よりだ。国防軍を攻撃したのは何故だ?」
「私もヒロシ君に会えて嬉しいよ…アイツ等は国防軍に化けた多国籍の怪しい団体だね。この国の国防軍は終わってるよ。過激派に襲われた位で私が解放されちゃうんだからね?異星人…グプ人に襲われてる最中も他国や団体に好き勝手されてるよ。あの中には本物の国防軍も交じっているかもしれないけど、服従してるよ。よく分からない組織にさ…港に立って、双眼鏡で作業をチェックしてたのは間違い無く日本人じゃ無かったよ。だから腹が立って攻撃したの…また私達みたいな子が犠牲になると思ったら、身体が勝手に動いちゃった…分かり難い説明してゴメンねヒロシ君」
「理解出来たよ。アイツ等が国防軍モドキだと分かったのは?」
「……この無線機だね。アイツ等は自分達が生き残る為にサンプル集めをしてるって言ってたよ」
「つまりだ…この国の防衛力はほぼ皆無で、他国の好き勝手やられている訳だ。サウス、これからどう動こうか?」
「先ずは俺達の目標は達成したな。ヒロシと同類のレイカに会えた。取り巻く環境はキナ臭いが、俺達がやれる事をやってくしかないな…グプ人やレイカの言う怪しげな団体を監視、若しくは襲撃して生きて行く為の情報や資源を得るしかないな」
「ああ。レイカ、俺達みたいな人間に会えたり、有益な情報がありそうな場所は知っているか?」
「えっと…ヒロシ君、私も一緒に付いて行っていいの?」
「勿論だ。最初にこう言うべきだったな。レイカ、俺達と行動を共にしないか?」
「うん!ぜひぜひ!嬉しいよヒロシ君!」
レイカはヒロシに抱き付いた。
「お、俺も嬉しいけどサウスが見てるぞ…」
「相棒、俺は気にしないぞ?」
「フフッ。不思議なコンビだね、ヒロシ君とサウスは…そうだなぁ、重要な施設と言えば日本海側のグプ人の海に浮かぶ拠点かな?」
「反対側の海域に旗艦がいるのか。長旅になるから、食料が不安だな」
「それならさ、さっきの港にいるヤツ等を襲撃、食料を奪って日本海側に行く時にK県やF県なんかを経由しながら移動すればどうかな?無線で盗み聞きした感じだと被害が少ないみたいだしね」
「成程な。エセ国防軍には遠慮はいらないし、各地で補給しながら移動するか…サウス、どうだ?」
「悪く無いな。旅路の途中で、レイカにもドゥメルクが手に入ったら、なお良いがな」
「ドゥメルクって、サウス見たいな生き物の事?」
「そうだ。死に掛けた時に偶然、ヒロシに寄生できた。グプ人の血を吸収しても拒絶反応で死ななかった相棒にな…」
グニャリと変身して、サウスは銃にナイフが付いた形になった。
「おー!カッコ良いね!それは手に入れたいけど、そんなに都合良く行くかな?」
「それは運だな。俺自身の経験だが、ドゥメルク自体に自我がしっかりあって、生きる事に渇望しないとダメだな」
「そういえばグプ人を数体倒したが、ドゥメルクは静かだったな。あれはそういう…?」
「ああヒロシ。宿主が死んだりするとドゥメルクは何て言うか…諦めるんだろうな」
「ふーん…サウスみたいに活きの良いのを見つけないとダメなんだね?」
「そうだな。レイカのドゥメルクを見つけるのも旅の目標だな」
「良いね、それ!サウスはどんな事が出来るの?」
「グプ人が撃つ様な球体をヒロシが元気な限り撃つ事が出来る。相棒の要望で発射音を変えたし、薬品を取り込む事で球体のパワーアップもしたな。レイカも見た通り、形を道具なんかに変えられるな。後は潜水艇が運転出来て、睡眠が必要無いから2人が寝る時に見張りが出来るぞ」
「うわぁ…メッチャ万能じゃん!ヒロシ君、サウスが味方になってくれて良かったね!」
「ああ。ここまで生きられたのもサウスのお陰だよ」
「改めて言うなよ…照れる…」
「そりゃ悪かったな。お、周りが大分暗くなって来たな。レイカ、ラーメンでも食べるか?」
「ラーメン!良く手に入ったね!?勿論頂くよ!」
鍋に水を入れて固形燃料で湯を沸かし、ラーメンを作った。食事中にヒロシはレイカと施設にいた時の思い出話や社会人時代の苦い経験話等をして穏やかな時間を過ごした。
「…やっぱり、まともに話が出来る人といると楽しいよヒロシ君。サウスもありがとう」
「こちらこそだよレイカ。なぁサウス?」
「ああ。レイカとこれから一緒に行動出来ると思うと……」
サウスが話している最中にバタバタバタバタとヘリコプターが島の上空を飛ぶ音がした。
「…敵襲ぽいねコレ。ヒロシ君、サウス戦える?」
「ああ…」
「勿論だレイカ」
どうやらエセ国防軍がレイカを探している様だった。
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