いつか途切れる道の上で

ななゆき

1 どこまでも遠くへ

「牛さんが乗ってる!」

 ハンドルを握るりんの言葉に窓の外を見ると、私たちが今追い抜いたトラックの荷台から、無数の牛が頭を出しているのが見えた。

「すご」

「ね、牛さんもあんな風に運ばれるんだねえ」

 りんがのんきな様子で笑いながら話す。

 二人で合宿免許に通い、割り勘で買った地味なシルバーの中古車。

 だけど、車の見た目なんかより、二人でどこへでも行ける自由を手に入れたことに、私たちは胸を躍らせていた。

「運転、代わろうか?」

「ううん。まだ大丈夫」

 目的地まであと数時間。

 でも、りんと二人なら、もっとずっと遠くまで行けるような気がする。

「楽しいね、ユキ」

 そう言って笑うりんにつられて、私も笑った。

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