忘れられたラブレター

海翔

第1話

 鎌倉も秋が深まり、木々が色づいてきた。

黄色と赤と目を見張るようだった。あれはもう4年前のことで、私が大学を卒業して、1年目のことだった。

 あの時も、秋を求めて大学の友人で先輩の麻衣さん、後輩の杏奈さんと一緒に北鎌倉から紅葉を見に来た。北鎌倉を下りて浄智寺に向かい、山門を抜け、カエデ、もみじ、イチョウと鮮やかに色づいていた。

特にイチョウは黄色く染まり、鮮やかだった。

 ふっと、麻衣さんはイチョウの葉を数枚取ってそれを本の間に挟んだ、

杏奈さんは「このイチョウどうするんですか?」と聞いたら、

麻衣さんは「しおりにするんですよ。思い出に残るので」そう言われ、私も杏奈さんも真似をした。

 そこから3人は建長寺に向かった。

このお寺は鎌倉の中でも結構大きなお寺でもみじの真っ赤なトンネルは有名だった。

3人はトンネルを抜けて、ひとまず休憩をした。

私が売店に向かうとそこに3人組の男性が同じように売店に向かってきた。男性は「お一人ですか?」と聞いてきたので「3人できました」

その一人が「もしよかったら、一緒に紅葉を見ませんか?」と誘ってきた。

 そこに杏奈さんと麻衣さんが来たので話してみたら、それもいいのではないかと言われ、6人で行動することにした。

 男性の3人組は、「左から青田拓海です。岩井裕太です。そして、石橋大地といいます」そう言われ、

彩は「同じ大学の先輩の麻衣さん、後輩の杏奈さん、そして、私は彩です。よろしくね」と自己紹介した。

 売店で買ってきたコーラを飲んで「私たちこれから明月院に行きます」

「いいですね」

大地さんは「ここアジサイの寺院ですね」

 麻衣さんが「この時期はイチョウ、イロハモミジ、ヤマモミジが満開なので写真撮るにはいいですよ」

 それを聞いて、裕太さんは「さっそく着いたら撮りましょう」と話した。

ふっと話しているうちに麻衣さんは大地さん、裕太さんは杏奈さんと、私は拓海さんとコンビになっていた。

 拓海さんにメンバーのことを聞いたら「同じ大学の同級生」だと話してくれた。

「特に裕太とは、幼なじみなんだ」と言った。

道路を歩いて明月院に着いたらモミジが紅葉しているところで写真を撮った。

初めは全体の写真を撮って、次に麻衣さんと大地さん、杏奈さんと裕太さん、そして、私と拓海さんで撮ってもらった。

その後、みんなで食事をした。

 その時に拓海さんから「よかったら、お互いにアドレス交換しませんか?」と言われ、みんな賛成した。「写真はアドレス宛てに送りますね」と拓海さんが言った。

そして、食事を終えて男性とは駅で別れた。


 麻衣さんは大船までは一緒でその後は一人で家に向かった。

杏奈さんは私と一緒にマンションに向かった。

マンションに着いて部屋の中を暖めて、ベッドに座っていたら、さっそく拓海さんから「今日は一緒に行動できて楽しかったです。今度は東京で会いましょう」とメッセージが来た。

それを見て、私は「忘年会は一緒にしましょう」と送った。

 それと同時に杏奈さんにもメッセージが来た。

「今日は楽しい一日でした。今度は2人で会いたいですね」とメッセージが打たれていた。杏奈さんは「今度の時はもっとたくさん話したいです」とメッセージしたら、同時に返事が来て「そうしましょう」と返事が来たのにはビックリした。

杏奈さんは「もしかしてまだ、3人で居るのではそんな気がします」と言った。

 そして、二人は今日の疲れを取りに浴室に向かった。

浴室にはちょうどいい温度で湯が溢れていた。さっそく二人は裸になって湯に入った。

二人で一緒に湯に入るのは一週間ぶりだった。

前にお酒に酔って私の家に泊まりに来てからちょくちょく来るようになった。

杏奈さんは「拓海さんてすごくいい感じしますね。なんか話題性もあるし一緒にいたら楽しいかも」そう言われ、

「私もそんな感じしますよ」

「杏奈さん裕太さんはどんな感じでした」

「何となく甘ったれの感じがしますよ。これから付き合うと色々わかるかもね「そう彩は言った。

体が温まり浴室を出て、スエットに着替えてビールを冷蔵庫から彩は持ってきた。

二人で乾杯をして、疲れを癒した。


 翌日は二人で朝食を食べて、杏奈さんはひとまず家に帰り、午後から大学に行くことにした。

杏奈さんを送ってからシャワーを浴びて、洗濯をしていると麻衣さんからメールが来て「昨日はどうもありがとう、さっそく大地さんからメールが来て、近く二人で飲みに行きませんか?とメールが来ました。そちらでもメールが来ていませんか?」

そう書かれていたので「電話でのちほど話しましょう」と彩は話した。

 午後になり、彩は大学に出掛けた。

食堂で麻衣さんと杏奈さんに会って、昨日の3人の男性のことを話した。

彩は「みんなメールが来てるようで、しばらく付き合ってみるのもいいのでは」と話した。

麻衣さんも杏奈さんもそれには賛成してしばらく付き合って情報交換しましょうということになった。

 麻衣さんはさっそく、大地さんに連絡して週末に会う約束をした。

もちろん二人だけで大学の授業が終わってから大地さんにメールしたら「バイトが後2時間ぐらいで終わるので、その後に会いましょう」とメールが来た。

「待ち合わせは渋谷でどうですか?」連絡が来たので「了解しました」とメールを出した。


 夕方の6時ぐらいに落ち合って麻衣さんの知っている店に行くことになった。

そこでお互いのことを話したり、趣味についても話したらお互いが海に潜るのが趣味だと分かり今度行く話まで進んだ。

 それ以外に大地さんはホッケーをやっていると言うことで、いい体格をしていた。麻衣さんにとっても理想の彼氏だった。

 お互いが意気投合して、大分お酒を飲みすぎてしまった。大地さんは「もしよければこのままホテルに泊まりませんか?」と言われ、そのまま帰りたくないので「行きましょう」と言った。

 大地は手近なホテルに麻衣さんと入った。

部屋に入り、二人はくちづけをした。

大地は麻衣さんを抱き締めて余韻に浸った。

 麻衣さんは「シャワーを浴びて来ますね」と大地に言い、

バスタオルを持って浴室に入った。しばらくしたら、シャワーの音が聞こえ大地も着ているものを脱いでバスローブに着替えた。

 10分もしたらスッキリした顔をして体にバスタオルを巻いて麻衣さんが出てきたので、入れ変わりに大地が入ってシャワーを浴び、サッサッと洗って出てきた。

 麻衣さんは椅子に座ってミネラルウォーターを飲んでいた。

大地もそれをコップに次いで一気に飲み干した。

二人はくちづけをしてお互いのバスタオルを取ってベッドに潜った。麻衣さんの乳房が大地の胸に触れていっそう興奮をした。

麻衣は胸板の厚い大地に抱かれ興奮をし、そして包まれるような安心感を感じた。

麻衣はお互いを求めながら、一時の癒しに打ち解けていった。

そして、二人が癒されたときに深い眠りについた。


 翌朝は、麻衣さんのシャワーの音で目が覚めて、大地は眠気まなこで裸で浴室に入った。

扉を開けて入ったら、シャワーを浴びていた麻衣さんが「キャー」と声をあげた。

大地が「おはよー」と言ったら麻衣さんはシャワーの湯を大地に向けた。

そして「おはよう」と返事を返した。

 大地は均整のとれた麻衣さんを抱き締めて、頭からシャワーを浴び、二人でキャーキャー言いながら楽しんだ。

シャワーを浴びてからはベッドで抱き合った。

 大地が麻衣さんに向かって「これからも付き合ってください」と話したら、麻衣さんは、はにかみながら「よろしくね」と小さな声で言った。

   

 杏奈は行きなり会うのが気になって、彩に「今週末に拓海さんと裕太さんに会ってみませんか?」

「私一人で会う勇気がなくてそう言われ」

彩は「うんうんそうしましょう」と言って二人に連絡して会うことにした。

 週末に新宿で会い、居酒屋で鎌倉でのことを話したり、お互いのことを話したら、拓海が同じ小学校の出身と分かり、より親しみがわいた。

その当時の先生のあだなやら、学校でのいたずらなことを拓海は話してみんなの笑いを誘った。

 杏奈も裕太と話していたら、中学校時代隣のクラスにいた佳江さんのお兄さんだと分かり、佳江さんのことが気になって色々聞いていた。

落ち着いた感じの裕太さんに杏奈は兄のような感じがしてきた。

お互いに語り合っていたら11時を過ぎてしまい、帰ることにした。

裕太さんが杏奈さんを家まで送ってくれると言うので、杏奈さんは送ってもらうことにした。

 私は拓海さんと同じ方向に向かって歩いていった。

拓海は「このまま帰るのはまだ早いですね、どこかで飲みますか?」そう言われ、彩は「家でどうですか?それほど遠くはないし、もっと、学校のことが聞きたいので、、、」

「それじゃそうしましょう」と拓海は言って、車で彩の家に向かった。

10分も乗ったら着いたので、階段を上ってマンションに入った。

拓海が部屋に入ったら、彩は部屋をロックした。

彩は拓海を抱きしめ、くちづけをしてその余韻に浸った。

 拓海は彩の乳房を揉み始めた。

彩は「少し待ってください。シャワー浴びてきます」そういってバスタオルを持って浴室に向かった。

しばらくしてシャワーの音が聞こえ、拓海も着ているものを脱いで浴室に入った。

突然のことで彩はビックリして、胸と下半身を手で隠した。

拓海は「なにも隠さず一緒にシャワー浴びよう」と言って頭から浴びた。

ふっと、それを見て、彩も隠すのをやめて二人でキャーキャー言いながらシャワーを浴びた。

そして、バスタオルで拭いてそのままベッドに向かった。

 拓海は彩を抱き締めて、くちづけをしながら乳房を揉みだした。

二人で触れあう分だけ情熱を感じた。

 彩の乳首が固くなり、興奮をしてきたのを感じた。指先を膣に触れたら愛液で濡れだしていた。彩は拓海のペニスを揉みながら、舌先を触れてきた。

拓海は何とも言えない快感で悶え始めた。態勢を変えて拓海は彩のクリトリスを舌先で刺激した。彩の溢れだし愛液がアナルへと流れ出した。拓海は彩の膣の中にペニスを入れた。

その瞬間に彩は「うぅぅ、、、」と言葉を濁してその刺激を受け入れた。

拓海が激しく動き出したときには、何とも言えない言葉で悶え始め、一気に頂上を迎えた。

拓海は彩の膣の回りを拭いて、自分のペニスも綺麗にした。

 そして、しばらくして彩は冷蔵庫からビールを持って来て拓海に渡した。

彩は「久々にSEXしてスッキリした」

「何となくイライラしていたので、、、今日はゆっくり寝れそうです」

そういって、又、冷蔵庫からビールをもって飲み干した。

 さすがに6杯目を飲み干したときには眠気がさして彩はベッドに裸で横になっていたが、拓海も気がついたら、眠りに落ちていた。


 翌朝、目を覚ましたら彩さんはベッドにはいず、浴室からシャワーの音が聞こえていた。

拓海は裸になって浴室に入り「おはよう」と彩に言ったと同時にシャワーの湯が拓海に降りかかってきた。

拓海はそのシャワーを頭から受けて体を流した。

そして、バスタオルで拭いてベッドで愛し合った。

彩は「朝一番のSEXはすべてを解放させてくれる」そういってすべてを解放した。

再び、シャワーを浴びて、二人は身支度をして近くのマクドナルドで朝食を食べて、大学に向かった。


 それ以来、拓海は彩とは恋人として付き合うようになった。

そんな生活が半年過ぎ、夏休みが近くなった頃に麻衣さんから「海に泳ぎにいきませんか?」と、私のところに連絡が来た。

さっそく、拓海さんに連絡したら「裕太の別荘が海の近くにあるのでそこに行きませんか?」と連絡が来た。

「メンバーはいつものメンバーでどうですか?」私はその事を麻衣さん、杏奈さんに連絡したら、行きたいとの返事が来た。

さっそく予定を立てた。予定として、8月の始めに決めた。

ちょうどその日は裕太の家族も軽井沢に出掛けていて、別荘が空いていたのでその日に決めた。

 そして、当日になり、大地さんがワゴン車を用意してくれた。

6人はこれに乗って裕太の西伊豆の別荘に向かった。

途中で数回休んで、夕方前に別荘に着いた。

着いてみてビックリしたのは結構大きい別荘だった。

部屋割りは付き合っているもの同士で一部屋ずつに決めた。

大地と麻衣さん、裕太と杏奈さん、私と拓海さんで部屋割りを決めた。みんなもこの部屋割りに賛成してくれた。

 そして、さっそく夕飯の準備に入り、麻衣さんが先頭にたって料理の指揮を取ってくれてペースよくことが進んだ。

できた料理を居間に持っていきお酒を用意して、みんな和気あいあいと飲んで食べて時間を過ごした。10時を過ぎて後片付けをして各自自分の部屋に移動した。


 部屋は独立型になっていて、風呂、ベッドなどすべて揃っていた。

彩はさっそく、風呂に湯を貯めた。

そして、拓海さんに「一緒に入りませんか?」と誘った。

拓海は素早く着ているものを脱いでお風呂の中に飛び込んだ。

その早さに彩はビックリした。

彩もその後を追うように裸になって湯に入った。お互い見慣れた裸なのに場所が変わっただけで何となく恥ずかしい気持ちになった。

湯に浸かり、体を流して、バスタオルを巻いてベッドに向かった。窓を開けると潮風が肌に差して気持ちよかった。

 夜空は満天の星で輝いていた。拓海は彩を後ろから抱きしめてくちづけをした。

そして、ベッドに横になった。彩を抱きしめて、二人の愛情を確かめ合った。彩にとっては拓海はなくてはならない存在になっていた。

すべてが終わった頃には、彩は拓海の腕の中で静かに眠りに着いた。 


 翌朝は軽い食事をして、水着に着替えて泳ぎに出掛けた。

杏奈さんと彩さんは浮き袋で波に乗って遊んでいた。裕太さんと大地さんは麻衣さんを浮き袋の船に乗せて少し沖に出ていた。

 そこへ杏奈さんと彩さんが岸に戻ろうとしたところ離岸流に飲み込まれて、沖へと流されてしまった。

岸にいた拓海さんに助けを求めたら、拓海さんは二人に向かって泳いで行ったが離岸流の影響でなかなか思うようにいかず、パニックになり、体力の消耗で溺れてしまった。

 彩さんがすかさず大きな声をあげたので裕太さんがそれに気付き、二人を助けたが、拓海さんは大分水を飲んでいて、救急車を呼んで応急措置をしたが間に合わず、その場で亡くなってしまった。

彩はあまりにも緊急なことでただ呆然としてしまった。

 裕太さんは拓海さんの家族に連絡して、病院に来てもらった。

突然のことで拓海さんの両親は顔を見たら号泣してしまった。

このようなことになってしまい、彩さんと杏奈さんは涙をためて謝った。拓海は家族と共に家に帰り荼毘に付された。

5人はまさかこんな早く拓海が亡くなるとは思わなかった。


 葬式が終わり1ヶ月がたった頃に、拓海さんの母親から彩さんに手紙が届いた。

手紙には息子の遺品整理をしていたら、貴女宛の封書が出てきたので送ります。どうか、納めてください。

封の切っていない封書が中に入っていた。封を切って中を見たら、私宛のラブレターだった。

彩はそれを涙を流して読み始めた。彩さんに出会ってもう、1年近くなりますね。いろんなことを彩さんから学び魅力を感じました。

 今では私にとって無くてはならない人になりました。これからいろんなことがあると思いますが、二人で乗り越えて行きましょう。

そして、結婚しましょう。

 そう、封書に書いてあったのを見て再び涙を流した。

彩にとって大事な人を亡くしたことに後悔をした。


 あれから、1年が過ぎ、5人で拓海の墓に出かけた。

途中、電車の窓から見たひまわりは屈託のない笑顔を覗かしてくれた。

 

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