新月 潮の満ち引き

第1話 緩和ケア病棟

ヨリコが緩和ケア病棟に入院したと聞いて、

駆けつけた。

4人部屋で鼻から酸素のチューブを付けて

点滴をしていたけれど、私が病室に顔を出すと

直ぐに気付いて手を振ってくれた。

「何よ！これ！どう言うことなの？

いきなり、緩和ケア病棟ってさ。」

私はヨリコのやり方に腹が立っていた。

LINEでいきなり、

「肺炎になっちゃったの。入院することになったよ。😣　森ノ宮総合病院の七階だよ。」

って送られてきた。

その時はわかんなかったわよ。

森ノ宮総合病院の七階か。

肺炎なんてね、お互いに歳になったもんだなんてお気楽に考えてた。

だから、パートの休みの日に行くよなんて返信しちゃったじゃない。

今日、来てみたら受付で七階が緩和ケア病棟だと知った。

緩和ケア？それって、、。

え？でもどうして？

ヨリコ、なんで黙ってたの？

私は病室に向かうエレベーターの中で

イライラして、何度も七階のボタンを押した。

面会者リストに名前を書くのもうざったい。

ボールペンなんか放り出して走りたい気持ちを

ここは病院だからと早足で病室に向かった。

なのに、なによ！

4人部屋で他の患者さんと笑って話してるじゃないの。

ばか、ばか、ヨリコのばか！