第15話

水樹たちは、この植物園の中で、残りの音階に頭文字が合致する花――ラベンダー、レンギョウを探して歩いた。そして、それぞれ、数字の札が括りつけられていることを確認した。ラベンダーには「1」、レンギョウには「6」。

その頃には、赤紫の朝焼けが、水樹たちの視界を染めていた。

此処で改めて、先に水樹がメモに書いた音階に、数字を当てはめるとこうなる。

『6761766717』

水樹は、顎に右手をやり、左手でメモを持って暫し考え込んだ。綺羽が隣に来て、そのメモを覗き込んで来る。

「水樹様。『探偵社アネモネ』の皆様。早速、『新誠の間』に行かれますか?」

水樹の中には、ある種の確信があった。この数字を持って、「新誠の間」に行けば、正解だろうと思っていた。そうすれば、時計を全て手に入れられるかもしれない。

だが、水樹は首を横に振った。

「僕には、未だ解くべき謎があります……明美子さんの部屋に入れさせてください」

水樹が言うと、理人と陽希も続けて頷く。事件が発覚してから明美子の部屋は閉鎖されていた。鍵は勿論、この屋敷の現在の番人である、綺羽が持っている。

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