3-6.アキ、泳げるようになる!?

「まずはかぜまほうでくうきをかくほするんだ!まりょくがおおいほどながくすいちゅうにもぐれるぞ〜!」



 アトラちゃんが孫たちに泳ぎ方を教える前に風魔法で空気を確保して溺れなくするというテクニックを教えていたよ。確かにこの方法なら溺れることはなくなるし、場合によっては水中散歩も可能になるね。


 あぁ~、この発想はなかったわ。さすがアイム島に住んで海で漁しているだけあるわ。


 よし!ボクもアトラちゃんの水泳教室に参加しよう!泳げないからテントでのんびりくつろごうかと思ってたけどね。



「リオ、ここは任せてもいいかな?」


「おう!アキはどうするんだー?」


「ボク、元の世界でも泳げなかったんだけど、さっきのアトラちゃんが言ってることを聞いたら、魔法を使ったら溺れる心配はなさそうだし、ちょっとチャレンジしてみようかな?って思ってさ」


「アキは泳げなかったのかー。じゃー、アトラに教えてもらえー」


「うん、そうさせてもらうね!」



 ボクが孫たちのところへいくと···、



「アキじーちゃん?どうしたんだ?」


「アトラちゃん、ボクも泳ぎ方を教えてくれるかな?実は泳げないんだよ」


「そうだったのか!いいぜ!あたいがおしえたらきょうじゅうにこのみずうみいっしゅうぐらいはできるようになるぜ!」


「いや···、そこまでできなくてもいいんだけど···」


「そうなのか?まぁ、いいぜ!まずはかぜまほうをどうつかうか?だな!くうきをあっしゅくしてちいさくして、かおのしゅういにおいておくんだ。それをすこしずつほぐしてすいこむってかんじだな!」



 なるほど···。要するに酸素ボンベを顔の周囲においてるようなものか。圧縮空気だと圧力が高すぎるから、呼吸の際に減圧するって事だね。これならすぐにイメージできるな!魔力が多いほど長く潜れるというのは圧縮する圧力と空気量が多くなるからって事だね。


 よし!やってみよう。まずはこれぐらいかな···?



「おっ!?アキじーちゃんがさっそくやってるぞ!アキじーちゃん!それでもぐってみて!」


「いいよ!じゃあ早速···、ブクブクブクブク···」



 水面から顔を沈めてから、圧縮した空気を減圧しつつ顔の周りに展開してみた。おおっ!?確かに呼吸できるぞ!しかも水中メガネなしでも目が開けられるね!クリアに水中が見えるぞ~!


 そうして3分ほどボクは顔だけ潜っていた。まだまだ空気の量は余裕だね!これはいい魔法を教えてもらったよ~!



「ブハー!アトラちゃん、こんなかんじでよかったかな?」


「アキじーちゃん、すげーな!もうかんぺきにできてるぜ!」


「アトラちゃんの教え方が上手だったからだよ。ちなみにアトラちゃんはどれぐらい長く潜れるの?」


「あたいで4じかんかな~?まえにクオンねえといっしょにもぐってたら、『しょくひんせんたい ぐるめんじゃー』であらわれた『かいじんプルオクトパス』っぽいまじゅうをみつけたから、うみのなかでほんきでたたかったんだよなぁ~」


「あっ、そう···。海の中でも戦隊ヒーローごっこやってたんだね···」



 ボクの元の世界であった特撮ものの怪人っぽい魔獣って···。魔獣っていろんなヤツがいるんだなぁ~。


 ボクが成功したのを見て、孫たちは一斉に練習を始めた。空気を圧縮するのが難しいようだったから、そこはボクがどういう理屈か?を教えてあげた。魔法で容器を用意して、そこに空気を押し込んでいくイメージを教えたらみんなできたね!



「よーし!みんなこれでじゅんびできたからおよぐぜー!まずはちからをぬいたらうくんだ!そしてしっぽをひだりやみぎへふるとまえにすすめるぜ~!」



 ···あの~、それってドラゴン族のしっぽだからできるんだけど?いわゆるドルフィンキックってやつだよね?フーちゃんとモンドくんだとさすがに神狼族のしっぽだと細いから無理じゃないかな?と思ってたら···、



「お~!まえにすすんでいくね~!しんたいきょーかしたらはやくなったよ~!」


「ほんとだな!しんたいきょうかしたらはやいぞ~!」



 ···そっか。魔法があればなんでもできちゃうか。じゃあ、ボクの世界にあったクロールやバタフライとか教えるとどうなるのかな?ちょっと気になったので教えてみよう。



「みんな、ボクの世界の泳ぎ方を教えようか?といってもボクは泳げなかったからうまくは教えれないけどね」


「「「「おねがいしま~す!」」」」



 やっぱり孫たちは知識欲が貪欲だね~!とりあえずヘタクソだけどクロールとバタフライをやってみた。やってみたけど···、クロールもどきやバタフライもどきなんだけどね···。


 そしてみんな試してみると···!?



 ドドドドドッ!!



 すごい音としぶきをあげながらみんな沖の方へ行ってしまった···。おそらく身体強化までやっちゃってるんだろうなぁ~。


 そして待つこと5分後、みんな戻ってきたよ。



「すっご~い!じーじのおよぎかたしたらはやかったよ~!」


「じーちゃん!これすげーな!きもちよかったぜ!」


「アキじーじ!ありがとう!」


「アキじーちゃんのおかげでいいことしったぜ!これでとおくであくがいてもすぐにおよいでいけるぜ!」



 あっさりとみんなものにしちゃったね。さて、ボクはいったん浜辺にあがって昼食の準備でもするか!


 テントではハルとナナがナギちゃんとおしゃべりをして、リオは寝てたよ···。こんなところまで来て寝るなんてもったいないなぁ~。



「ただいま~。今からお昼ご飯を準備するね」


「···おかえり。···じゃあ、ちょっとナギちゃんと泳いでくるね」


「あたしもハルと一緒に行ってくるわ。アキ!おいしい料理にしてよね!」


「マカセテ!今日はバーベキューにするよ~!」



 ハルたちが泳ぎに行ったね。さて!バーベキューの準備をしますか!


 食材は先日のスタンピードで殲滅した魔獣たちのお肉を使おう。相当な量があるからたくさん食べても問題ないしね。そう思ってスマホで解体状況を確認した。まだ絶賛解体中で、明後日までかかるみたいだ。それでも万を超える魔獣を解体することを考えると、とんでもない速さなんだけどね。


 現時点で解体完了した中から食材のタブを選択すると···、10t近いお肉があった!これ、食べつくすのにどれだけかかるんだろうか···?まぁ、ナツのお店に提供したら問題ないか!


 ちなみにお肉の大きさや部位はいろいろ選べるようになっていた。今回は串焼きにするので角切りサイズで選択して、種類は『おまかせ』なるコマンドがあったので、それを選択した。···思ったよりこの解体はできる子だなぁ~。


 無限収納カバンに手を突っ込んでお肉を取り出して串に刺していく作業を延々と続けたよ。みんなたくさん食べるだろうからね。30分ぐらい黙々と作業していたら、みんながテントに戻ってきたよ。



「お~!じーじ!きょうはバーベキューだね~!」


「そうだよ、フーちゃん。こういう場所ではバーベキューは外せないからね~!」


「じーちゃん!このお肉ってもしかして···?」


「そう、モンドくん。先日狩った・・・・・魔獣のお肉だよ。かなりたくさんあるから、みんな遠慮せずにたくさん食べちゃってね~!」


「「「「はーーい!」」」」


「ははは!ナギちゃんもせっかくだからいっぱい食べてね!」


「ありがとうございます···。えんりょなくいただきますね···。じゅるり···」



 今日も肉焼きセットはフル稼働だ!ボクがじゃんじゃん焼いて、みんなおいしそうに食べてたよ。こういうのもありだよね~。


 そうしてバーベキュー大会は終了し、みんな満腹になってお昼寝をし始めたよ。一人除いて···。



「ちょっとーー!?オレの分はどうなったんだーー!?」


「リオはずっと寝てたでしょ?もうボクが用意した串はなくなったから、リオの分はないよ」


「そんなーー!!アキーー!今からオレの分を用意してくれーー!」


「もう午後3時前だよ?もうちょっとしたら帰るから、夕食まで我慢してね」


「えーーー!?どうしてーー!?どうしてこんな事にーー!?」



 昼飯時に昼寝するからだよ···。

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