変わり者カルロ
本当…とんだ変わり者でした。
『新聞にデカデカと載る程の大事件が起こった曰く付きホテルに闇の者が2人…いつ幽霊が出てきてもおかしくないのに一度もお目にかかれんとは何事だ!』
『知りませんよ』
『…ボス、闇の者と霊能者が似ているという話は良く聞きますが、根本的には違いますので『バターとマーガリン位の違いだろ!似てるからイケる筈だろ!?』…残念ながら無理です、というか全然違います』
『やっぱり霊能者じゃねーと無理なんかなー?でも霊能者から巫女や陰陽師まで育つのって、1000人に1人って言うからそうそうお目にかかれねーんだよな〜』
『何故そうまでして幽霊に遭遇したいんですか?』
『だって幽霊を見れる様になったら会えるかもしれないじゃん、親友に』
『『…』』
『会って一言謝りてーんだよなぁ、だから幽霊見れる日までぜってー諦めねーぞ!』
『コルヴォ様、そろそろ仕事しませんと残業になりますので、カルロさんの話はその辺で打ち切りましょう』
『ねー紅菊ちゃん、俺一応ボスなんだよ?何で側近のコルヴォに様付けで俺にゃーさん付けなの?』
『私が組織に入ったのはコルヴォ様に忠誠を誓ったからです、それに引き換え仕事せずに遊んでばかりのカルロさんのどこに慕われる要素があるのです?』
『紅菊ちゃんたら冷たーい…いいもんいいもん!何年かけてでも口説き落として見せるからさ!』
『良い年したおっさんがもんだなんて言わないで下さいよ、気持ち悪い』
『!?っ…ぅうう(マジ泣き)』
『紅菊…言い過ぎだ』
『…(ぷいっ)』
そんなカルロさんは昨年に他界、死因は抗争に巻き込まれそうになった女の仔を助け、銃弾を体中に浴びた事による出血死。
「もしかしてここって幽霊出るかもしれないの?」
「さぁ?ここで2年間勤めていて一度も見てませんけど、出るかもしれませんね」
「廊下真っ暗なのにナナシお姉さんは怖くないの?僕怖いよ〜」
「全然恐怖など感じませんよ…私も闇の者になって、こちら側の住人になったからでしょうかね?」
「こちら側?」
「…」
「あらー?紅菊ちゃんいないのー?」
廊下の方から聞こえてきた声に背筋に虫が走ったような悪寒がする。
「?、誰かいるの?」
「コタロー君、しっ!」
「あら?隣の部屋から声がするわ?もしかして見付からないように隠れながらシてるの?」
ガチャッ
そのまま回れ右して帰って欲しい願いも虚しく、扉は開かれ廊下の方からエムエムが入ってきた。
「あら居た♡はぁい紅菊ちゃん」
「…」
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